岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

8月末の資産管理結果。今月も微増

月末の資産チェックを行いました。先月は原資産価格、為替共に僅かな上昇要因となり、資産全体でほぼ1%の上昇となりました。ここのところ記事にしているようにパウエル議長の巧みな政策運営もあって株式市場はほぼ無風な状態が続いています。

このような状態が続いていると上手く行き過ぎていて気持ちが悪いと感じる一方、下がった局面で買い増したいという欲が強くなります。ここのところ株式市場で下落が続かず、押し目で買うことが結果として正解になっている理由は、同じように考えている人が多いのが一因のような気がします。
このように上昇が続き、気が大きくなっている時ほどリスク管理が大事です。先週の雇用統計を受けてテーパリングの開始は遅れそうですが、とはいえ不透明感の強い環境であることに間違いはありません。

そのような次第で、自身のポートフォリオが最悪期にどのくらい目減りしそうなのか、過去の事例から試算したいと思います。
私の保有資産は全世界株式とクレジット債で構成されています。それぞれの代表的なETFの価格推移を見ると、いずれも金融危機(リーマンショック)が最大の下落幅を記録しており、全世界株式で55%、クレジット債(ここではハイイールド債)で45%の下落幅となっています。これらはドル建ての下落幅なので為替の影響を加味するともう少し下落幅は大きくなるはずです。

金融市場に金融危機並みのショックが起こると投資資産がざっと半分に可能性があることは、常に頭の片隅に置いておく必要があると思っています。そうした時に自身がどのような精神状態になるのか、投資を継続する意思を保つことができるのか、折に触れて自身に問いかけたいと思います。市場下落時に損失に耐えきれなくなり、市場から撤退することが一番の悪手ですので。

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人類は気候変動に対応してきた。なぜインドとヨーロッパで同じ語族の言葉が使われるのか?

言語の分類にインド・ヨーロッパ語族というものがありますが、この語族について解説するYoutube動画を観ました。この動画ではインドとヨーロッパという地理的に離れた場所で祖先が同じ言語を使っている理由として、元々同じ地域にいた人々が気候変動によって西と南に移動した結果としています。その民族移動ですが、平均気温が3度くらい低下したこと移動のきっかけだったそうです。

この動画を観て思ったのが昨今の気候変動をめぐる議論です。環境庁のホームページによれば地球の平均気温は0.3-0.6度上昇したそうです。冒頭の民族移動のきっかけとなった気温の変化が3度程度ですから、過去100年の気温の変化を遥かに上回る規模の気温の変化が発生し、人類はその変化に対応したことになります。
温暖化がもたらす悪影響として、水資源・生態系・水没等が挙げられます。そして温暖化を止めるには二酸化炭素排出量を抑制する必要があり、排出量規制や再生エネルギーへの切り替え等による莫大な費用が見込まれています。

温暖化の悪影響を回避するのが容易なのであれば、その対策を行うことに異論はありません。ただし莫大な費用がかかるのであれば、その意思決定は慎重であるべきだと思います。そもそも温暖化の理由が二酸化炭素のせいなのか分からないという考え方もあるようですし…(膨大な費用をかけて二酸化炭素排出量を減らしたのに温暖化は止まらなかなったのでは、なんのための取り組みなのか分かりません)。

このように考えていくと、温暖化対策にどこまで取り組むべきかは、簡単に結論の出ない問題であるように思います。もちろん結論が出る前に水没する可能性のある地域に住む人々はいるわけで、そうした人々を見捨てることはできません。移住を促すか堤防を作るなど、現時点で現実的な対策を検討する必要はあるしょう。

元々このようなことを考えていましたが、そもそも人類は3度くらいの気温の変化に対応したらしいことが分かり、生物としての人類のたくましさに感心した次第です。気温の急激な変化が起こっても人類は生き残り、歴史は続いていくわけです。ただ現在の国際社会の枠組みでは民族移動を起こすわけにはいきませんので、人口の増減を通じ、徐々に変化への対応が行われるのでしょうね。

それはそれで「あり」なのでは。選挙互助会としての自民党

菅首相が予定されている自民党総裁選への不出馬を決めました。自民党総裁が首相となることから、菅政権は終了することになります。
さまざまな記事を読むと、今年予定されている衆議院選を見据え、「選挙の顔」をすげ替えたい意向が自民党内に数多くあり、そうした動きを受けて、首相が自ら不出馬を決断したそうです。総裁選等によって引きずり降ろされるよりは、自ら退陣を選んだ形になります。

日本の政党は「選挙互助会」と揶揄されることがありますが、今回の事象は選挙互助会としての政党の機能が機能した例だと思います。議員たちは自らが再選されるかどうかを判断基準に政治的な判断を下すことになり、有権者の意向を考慮しながら政治が行われたという意味で、ガバナンスが効いた結果と言えるでしょう。

このようにガバナンスが効いた結果として選ばれた選択肢が良かったのか悪かったのかは、歴史の評価に委ねられるわけですが、人気が高かったとはいえない首相が交代になることは、議会制民主主義である以上は致し方ない気がします。本来であれば人気取りではなく、長期目線で最善と考える方向に国民を導くのが指導者ですが、そうした人材は政治家になりにくいもので、また国民も強い指導者を望むべきではないでしょう。

総裁選の候補をめぐり、自民党内ではさまざまな調整が行われているものと思われます。誰が候補として取りざたされ、最終的にどう調整されるのか、注目していきたいと思います。

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中国経済をめぐる言説。共同富裕、金融緩和の継続、統制強化の影響について

中国経済をめぐる複数の記事を読んだので記録しておきます。

共同富裕:「共同富裕」という中国政府の新しいスローガンに対する否定的な考えが記事になっていました。中国国内からのリベラル派と目されるエコノミストが発表した共同富裕を批判する言説です。詳細は紹介されていませんでしたが、共同富裕への取り組みによって市場経済ないし政策が後退すると、中国が再び貧困に陥るのではないか、とのことです。この方は市場経済の導入が、一般の人々(とはいえ中国政府が問題視するように、たしかに一部の人なのでしょうが)に豊かになるチャンスをもたらしたとしているようです。この記事の中にこのエコノミストによる論文へのリンクがあったのですが、リンク先は閲覧不可になっていました。なんらかの制限が課されたのでしょうか…

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金融緩和の継続:このように企業への取り締まりが強化されると、長期的には中国政府が目論んでいるような調和的な成長がもたらされるかもしれません(そしてここ数十年、中国政府は驚異的な高成長を実現してきました)が、短期的には経済に悪影響となることが予想されます。そうした短期的な悪影響を、中国政府は金融緩和や財政支出によって下支えするのではないか、との予測がエコノミストによってなされています。中国政府側も短期的な経済へのマイナスは考慮しているでしょうし、また中国の財政状況は相対的に良好であることから、財政支出の余地は先進国対比でまだまだ大きいと言えます。従ってこの着眼点はその通りかもしれないと思いました。

統制強化の影響:中国政府が株式(拒否権のついた種類株)取得や取締役派遣を通じて、私企業への統制を強化していることについて、あのジョージ・ソロス氏が警鐘を鳴らしています。そうした企業へ投資家は投資すべきではないし、米国は中国企業への投資を規制すべきでは、との意見です。投資はお金を増やすために行うもので、その手段が非人道的なものであればさすがに寝覚めが悪い(先日記事にしたように地雷メーカーとか)ものの、中国政府が統制する企業に投資することがそこまで悪いこととも思えません。たしかに中国政府の影響力が強すぎるというガバナンス面での不透明感は意識するべきですが、米国政府による規制というよりは投資家自身が考えて判断すべきかと思いました。

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本日ご紹介した3つの言説のうち、金融緩和の継続は今後米国が金融環境の正常化させる中で対照的であり、面白い視点かと思います。中国への投資資金の流れについては、金融政策の方向性の違い以外にも様々な要因が予想されていましたが、これまで中国に向かっていた資金が、今後は米国に戻ることがあるのでしょうか。注目したいと思います。

パウエル議長はやがてやって来るかもしれないインフレにうまく対処できるのか。どの国・地域が炭鉱のカナリアになるのか

先日のエラリアン氏に続いて、インド中銀総裁を務めたラグラム・ラジャン氏が米国の金融政策に懸念を投げかけています。

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まず同氏は新興国の立場から、米国の引き締めが時間をかけて実施されることを歓迎しています。米国が急に金融引き締めに転じた場合、新興国に投じられた資金が米国に戻ることが考えられるため、新興国に悪い影響を与えます。そうした観点でパウエル議長が結果的に「市場の応援団」に見えるような、丁寧な政策転換を歓迎しているわけです。
ただ一方で巨額の財政支出が行われていることには注意すべきとしています。これまでの経済危機からの回復時と異なり、今回は財政支出によって市場に現金がばらまかれている(個人にも給付金という形で現金が給付された)ため、インフレ率の抑制には苦労するのではないか、ということと理解しました。

ちょうど同じ日に欧州中銀の幹部が、インフレ加速リスクを軽視すべきではないと意見した記事を読みました。この記事によると供給網の混乱と巨額の家計貯蓄がインフレ要因となり、これらに賃金上昇が重なるとインフレは加速するのではと見込んでいるようです。

これらの議論は日本にとって対岸の火事ではありません。コロナ前から財政状況が先進国の中で突出して悪かったことを考えると、いざ物価が上がり始めた時に日銀がインフレ率を抑制することができるのか、不安が残ります。日本では政府・日銀が様々な対策を講じてきたものの物価は上がらなかったわけですが、とはいえ未来永劫物価が上がらないとも限りません。

財政支出の拡大や金融緩和をどこまで押し進めることができるのかについては、他の先進国を炭鉱のカナリアとして相互監視しているような気がしています(そしておそらく日本は最先端を歩いているのでしょう)。海外におけるこうした議論には注意が必要です。

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Yシャツの夏、Tシャツの夏

ここ数日涼しい日が続いており、それは明日以降も続くようです。今年はあまり外出しなかったため、暑さをあまり感じることがなく、夏が終わってしまうように感じています。2年目に突入したコロナの影響ですが、振り返ってみると昨年の夏は自分の中で在宅勤務の習慣が定着しておらず、かなりの頻度で会社に行っていたのでした。

最近では会社へ行かなくなった代わりにジョギングをして、外の空気を吸うようにしているのですが、やはり会社に行く服装(Yシャツ・長ズボン)で感じる夏の暑さと、Tシャツ・短パンで感じる夏の暑さは別物です。

と、このように表現するとTシャツ・短パンで感じる夏の暑さの方が人間的であり、良い気がしてくるから不思議です。不思議というよりも実際に夏は本来、Tシャツで過ごすべきものなのでしょう。とはいえ社会人になって以来、十年以上にわたって夏をYシャツと長ズボンで過ごしてきたため、体が慣れていないのだと思います。

来年の夏はYシャツの夏に戻るのか、はたまたTシャツの夏を継続して人間らしさをまた少し取り戻すのか、後者だとするとその時に自分がどのような感じるのか、楽しみです。

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怖さには人によって異なるツボがある。映画「イット・フォローズ」

Youtube岡田斗司夫さんが「とても怖かった」「夜に一人で見てはいけない」と仰っているのを見て、自分自身はホラー映画は苦手でまず見ないのですが、つい見てしまいました。しかも「夜に、一人で」です。岡田さんがそこまで言う映画がどれくらいのものなのか、文字通りの「怖いもの見たさ」というやつです。

そういうわけでかなりビビリながら見たのですが、内容そのものはそこまで怖くはなく、設定が面白い一般的な映画として楽しむことができました。何を怖いと感じるのかは人によって異なり、少なくとも今の私はこの映画に怖さを感じず、むしろ設定の妙や展開の早さ(岡田さんも動画の中でテンポの良さは指摘していました)を楽しんだということだと思います。
もしくは現代的な怖さに私がついて行けないのかもしれません。怖さという感情は本能的なものだと思うので、そうしたことはないと思うのですが、どうなのでしょう。ちなみに私はスプラッター系は怖さを感じるものの、それは品の良い怖さだとは思っておらず(などと言い訳を言いながら敬遠しています…)、シャイニングやキューブのような心理的に怖がらせる映画の方が怖いと思います。

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この映画が楽しかったことから、同じデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督が撮影したアンダー・ザ・シルバーレイクも観てみました。こちらは合う人にはものすごく合うという意味でカルト感のある映画で、ただ微妙に現実感が入り混じっているところが私には合わなかったです。両映画に共通するところは設定が肝となるところで、この監督はアイデアで勝負するタイプなのかもしれないと思いました。