岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

パウエル議長はやがてやって来るかもしれないインフレにうまく対処できるのか。どの国・地域が炭鉱のカナリアになるのか

先日のエラリアン氏に続いて、インド中銀総裁を務めたラグラム・ラジャン氏が米国の金融政策に懸念を投げかけています。

reedonshore.hatenablog.com


まず同氏は新興国の立場から、米国の引き締めが時間をかけて実施されることを歓迎しています。米国が急に金融引き締めに転じた場合、新興国に投じられた資金が米国に戻ることが考えられるため、新興国に悪い影響を与えます。そうした観点でパウエル議長が結果的に「市場の応援団」に見えるような、丁寧な政策転換を歓迎しているわけです。
ただ一方で巨額の財政支出が行われていることには注意すべきとしています。これまでの経済危機からの回復時と異なり、今回は財政支出によって市場に現金がばらまかれている(個人にも給付金という形で現金が給付された)ため、インフレ率の抑制には苦労するのではないか、ということと理解しました。

ちょうど同じ日に欧州中銀の幹部が、インフレ加速リスクを軽視すべきではないと意見した記事を読みました。この記事によると供給網の混乱と巨額の家計貯蓄がインフレ要因となり、これらに賃金上昇が重なるとインフレは加速するのではと見込んでいるようです。

これらの議論は日本にとって対岸の火事ではありません。コロナ前から財政状況が先進国の中で突出して悪かったことを考えると、いざ物価が上がり始めた時に日銀がインフレ率を抑制することができるのか、不安が残ります。日本では政府・日銀が様々な対策を講じてきたものの物価は上がらなかったわけですが、とはいえ未来永劫物価が上がらないとも限りません。

財政支出の拡大や金融緩和をどこまで押し進めることができるのかについては、他の先進国を炭鉱のカナリアとして相互監視しているような気がしています(そしておそらく日本は最先端を歩いているのでしょう)。海外におけるこうした議論には注意が必要です。

reedonshore.hatenablog.com