岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

日銀のマイナス金利解除は市場に過剰反応をもたらすか?

日銀が現在のマイナス金利を解除した時、米国債市場にマイナスの影響をもたらすのではないかと予測する記事を読みました。その記事によると市場では、マイナス金利が解除された後に日本の投資家はその資金を海外から日本に戻すため、米国等の国債市場にマイナスの影響をもたらす、と考えているそうです。

私は日銀のマイナス金利の解除が市場にもたらす影響は、本来は限定的ではないかと思っています。マイナス金利の適用範囲は限定的と認識しています。ネットを検索をすると、昨年2022年になって2016年のマイナス金利の導入以降初めて、三菱UFJ銀行の資金の一部にマイナス金利が適用されたという記事が出てきます。メガバンクで昨年になってようやくマイナス金利が適用された(しかも記事を読むと同行は、回避しようと思えばマイナス金利を回避できたようです)ということは、マイナス金利が適用される範囲がいかに狭いかを示していると思います。

そしてマイナス金利が解除されると言っても、政策金利が急に0.5%に上がるわけではないでしょうから、マイナス金利の解除は象徴的な意味しかもたないように思います。それにも関わらずマイナス金利の解除が大きな影響をもたらすと市場で考えられているということは、マイナス金利の解除がもたらす市場の反応(それはおそらく円高であったり、私が読んだ記事にあるように米国債の売りかもしれません)が大きかった場合、それは投資の好機になるかもしれません。

実際にマイナス金利が解除されるのは相当後のことだと思いますが、過剰反応が起こらないかという視点で、市場の動きを観察していきたいと思っています。

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日銀がイールドカーブコントロールの再修正を検討しているとの報道

日銀がイールドカーブコントロールの再修正を検討しているとの報道がありました。7月の修正後も金利が上昇し、長期金利が上限である1%に近づいていることが、その理由のようです。

以前も記事にしたように私はイールドカーブコントロールを修正ないしは撤廃し、金利の決定を市場に任せ、市場を通じて財政状態を改善していくことが、日本にとって現実的な選択肢であるように思っています。中央銀行が債券市場を人為的に管理している状況は、放漫な国家財政につながりやすく、中央銀行の管理が行き届いている間は良いものの、そうでなくなった時は悲惨な結末が待っています。

経済を成長させるにあたって財政支出をその支えとすることは、ある程度までは適切であり、必要なことだと思っています。ただ現在のように日本が財政悪化の先頭ランナーとなっている状況は、危うさを感じています。岸田政権が所得税の減税を打ち出す中で出てきた今回の報道は、金利上昇を通じて財政の悪化に歯止めをかける試みとして、良いことであるように思っています。

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世界最大市場からの撤退を決めた日本の自動車メーカー

日本の自動車メーカーが自動車の世界最大市場、中国からの撤退を決めたというニュースを見ました。世界最大の市場から撤退することは容易な決断ではなかったと思いますが、電気自動車の販売が好調な中国市場で、このメーカーは苦戦していたそうです。

私が見たニュースではこの自動車メーカーだけでなく、他の日本メーカーも中国市場で苦戦しているとのことでした。ニュースで紹介されていた中国での電気自動車のシェアは25%とのこと。ガソリン車に強みを持つ日本メーカーは、ガソリン車へのこだわりがアダになってしまったようです。

日本メーカーがガソリン車(ハイブリッド車)にこだわりを持つのは、私には当然のことのように思います。電動だから環境に優しいとは限らず(電気をどのように作っているのかが問題でしょう)、またハイブリッド車のエネルギー効率は相当高かったと聞きます。

そうした技術的な正しさにも関わらず、市場は電気自動車を選択してしまいました。中国が電気自動車を選択した背景には政府による推進もあるようですが、環境問題に熱心な欧州でも電気自動車は普及しています。以前以下リンクのような記事を書いていた私が言えることではありませんが、正しさにこだわらずに君子豹変することも、ビジネスの世界では必要なのかもしれません。

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9月末のバリュエーションチェック。新興国株が割安に(データ間違いの可能性ありますが…)

9月末の株式市場のバリュエーションチェックを行いました。今回もETFのホームページを参照し、PER(倍)、PBR(倍)、ROE(%)の順で提示しています。なお日本株は同じ会社の英国法人が運営するETFのホームページ記載のデータであり、データの基準が異なる可能性があります。

世界全体(VT) 15.6 2.4 16.2
米国(VTI) 20.7 3.5 22.3
欧州(VGK) 12 1.8 12.5
新興国(VWO) 8.4 1.9 15.1
日本(VJPN) 14.3 1.3 10.1

今月のチェックで気づいたことは新興国株がかなり割安になっていることです、新興国株はその約1/3を占める中国株に対する弱気見通しから下落しています。今回の8.4倍というバリュエーションはさすがに割安過ぎてデータ間違いの可能性が高いと考えています(昨年も一時的に9.8倍という極端な値を記録しました)が、割安になっていることはおそらく事実なのでしょう。

現在私には手元のドルがほとんどなく、新興国株に投資するのであれば円で投資可能な国内の投資信託になる予定です。今後株価が下落して追加投資の機会がやってくるするとすれば、中東の地政学的リスクの高まりや米国の金融引き締めでしょうか。また「新興国株≒中国株」と捉えるのであれば、中国をめぐる地政学的リスクについても、考えておく必要があります。そんなことを考えながら、今後の市場を眺めていきます。

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パレスチナ側の視点を紹介するようになった世論

ハマスイスラエル侵攻をきっかけとしたパレスチナでの紛争について、パレスチナ側の視点のたった報道が増えてきたように感じます。

現在行われているイスラエルによる反撃は、パレスチナの民間人を巻き込む形で行われざるをえず、パレスチナの民間人の被害を紹介することは、自然とパレスチナ側の立場に立った報道につながります。

また当初はハマスによる侵攻と民間人の拉致という、イスラエルに同情的にならざるを得ない報道が多かったのに対し、今後はイスラエルの反撃(イスラエルパレスチナの間には圧倒的な軍事力の差があり、イスラエル側が防御を固めた後、ハマスが再度侵攻することは難しいでしょう)、つまりパレスチナに同情的な報道が続くと思われ、そうした”流れ”は今後パレスチナ側の報道が増える要因になるはずです。

先日記事にしたように私はパレスチナ問題に詳しいわけでなく、単純な判官びいきからパレスチナに同情的に、今回の混乱を見ていました。ハマスによる突然の侵攻と民間人の拉致は言語道断ですが、かといってイスラエル側が過剰な報復を行ってよいわけではなく、こうした報道を通じてイスラエル側が自制することは良いことだと思っています。

ともあれ悲惨な報道を目にするにつけ、事態の沈静化を願っています。

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日本当局は金利を引き上げることができるのか?

日本の財務官が、急激な円安が発生した際に利上げや為替介入で対抗すると発言したことが記事になっていました。私がこの記事を読んだ時に思ったことは、財政が悪化した日本政府に、金利を引き上げる余力がはたしてあるのか、ということです。

財務官は「利上げによって資本流出を止める」と発言したそうですから、急激な資本流出が起こるような、危機的とも言える円安を想定した発言のようです。そのような事態に陥った時は、財政の健全性は二の次になるのかもしれませんが、金利を引き上げた後に日本政府が利払い負担に耐えることができるのかは、心もとないような気がします。

ちょうど本日、イエレン米財務長官が米国政府は利払い負担に耐えられると発言した記事を読みました。公の場でそうした発言があるということは、米国内で利払い負担を懸念する意見が一定数存在することを示しているのだと思います。米国の金利は5%で0.8%程度の日本とは水準が異なるとはいえ、政府債務がGDPの約120%で米国でこのような懸念があるのに対し、日本の政府債務はGDPの約220%となっています。

セントルイス連銀のデータベースより

 

このようなことを考えると、日本当局はそう簡単に利上げすることはできないような気がしました。

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パレスチナの紛争が沈静化して欲しい

ガザ地区を実効支配するハマスによるイスラエルへの攻撃の後、イスラエルが大規模な反撃を予定するなど、パレスチナをめぐる混乱は激化しています。これを受けてイスラエルパレスチナの双方の立場から様々な意見が出ています。

イスラエルを指示する立場では、突然の侵攻に加え、ハマスが行った民間人の殺害や人質作戦は、人権侵害ということになります。パレスチナを指示する立場では、進行前からパレスチナが陥っていた苦境や圧倒的な武力による反撃は、一方的な迫害ということになるのでしょう。

ハマスパレスチナの住民を人の盾にしていると非難されますが、イスラエルが本気で警戒する今となってはパレスチナによる追加侵攻は困難であろうことを考えると、イスラエルの反撃はもう少し穏やかであっても良いかと思います。これ以上の被害者増を避けるには、イスラエルが反撃の手を緩めることになるのでしょうが、イスラエルは強硬な姿勢を崩しておらず、今後の推移が心配されます。

金融市場ではイスラエルの反撃がガザ地区での作戦にとどまり、紛争が拡大しないことがメインシナリオになっているようです。そしてサブシナリオとして、紛争が周辺国(イスラエルとイラン等)の代理戦争化することや、さらに激化して直接的な戦争に転じることも、懸念されています。心情的にも資産運用的にも、紛争の沈静化を祈っています。

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