岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

西側諸国のロシア株投資家が願うのは西側優勢での戦争の早期集結

本日はロシアに有利な局面を伝える複数の記事を読みました。1つ目はロアイアの石油収入が今年に入って50%上昇していること、2つ目は欧州企業によるルーブル建てのガス購入が実現しそうなこと、3つ目はロシアのルクオイル社による英国シェル社のロシア国内資産の買い取りが前進していることです。

ウクライナ侵攻は軍事的には膠着状態(ないしロシア側の後退?)となっています。経済制裁が効力を発揮するには時間がかかることは元々覚悟されていましたが、エネルギー関連の制裁が効かないとなると戦争は相当長期化しそうです。

そうした中ロシア側と西側諸国の制限によって、西側諸国のロシア株投資家は自身のロシア株が売るに売れない状態が続いています。ロシア側の制限は外国人投資家の売買を実質的に禁じていることで、西側諸国の制限は西側の金融機関によるロシア国内への入出金に関するものです。

ロシアによる資本規制はロシア政府が株式市場の安定を確信するまで続くと思われ、また西側諸国による規制も戦争が続く限り継続しそうです。となると西側諸国のロシア株投資家としては西側優勢で戦争が集結しないと、売買は再開しないように思われます。ロシア側優位で戦争が集結した場合、西側諸国は引き続きロシアの金融市場への入出金に制限を課すと思われるためです。

また戦争が長期化してロシア本国の経済に壊滅的な打撃を及ぼした場合、ロシア企業の企業価値が毀損してしまう(現時点では供給網の一時的な根詰まりといったところでしょう)ことも考えられます。このため西側諸国のロシア株投資家は戦争の早期集結を願う必要があるでしょう。

ロシア株ETFに投資している私はこのように考え、西側優勢による戦争の早期集結を願っています。

reedonshore.hatenablog.com

イーロン・マスク氏がパッシブ運用を批判する。私は今後もインデックスファンドを愛用していきます

資産運用の世界では日経平均TOPIXといった指数通りの運用を行うインデックスファンドが流行していますが、そのことを懸念する意見が著名経済人や著名投資家から出ているようです。

今回私が読んだ記事では、インデックスファンドが有する議決権がもたらす影響力が大きすぎるという意見(著名なベンチャー投資家のマーク・アンドリーセン氏やイーロン・マスク氏)や、インデックスファンドでは真に優良な投資機会を享受することは難しいという意見(アーク社という運用会社を創業したキャシー・ウッド氏)が紹介されていました。

インデックスファンドの影響力が大きくなっているのはその通りだと思います。ざっと検索したところ、米国の株式市場でインデックスファンドの割合は約1/6とのことです。1/6というと少ないように思えますが、意見が分かれるような議案においてはキャスティングボードを握るのに十分な割合だと思います。

インデックスファンドは市場全体に投資をするため、投資先企業の数、つまり議決権行使を行う数も多く、それ故に一つ一つの議案への検討時間は限られてしまうでしょう。会社経営者の立場では自身の提案が十分な検討を経ずに反対されたり、また物言う投資家の提案に賛成されたりすると困るという事情は、私にも分かる気がします。

とはいえ個人投資家の立場では、幅広い銘柄に分散したポートフォリオに安価に投資できるというインデックスファンドは資産運用の強い味方です。今回指摘されたような問題は確かにあるのでしょうが、こうした課題の解決は関係者にお任せし、私は今後もインデックスファンドを愛用していきたいと考えています。

インデックスファンド、パッシブ運用をめぐっては様々な議論があり、今後も思いついた都度、記事にしていくつもりです。

reedonshore.hatenablog.com

中国のリスクが懸念去れる中、目をつぶって新興国株に追加投資する

昨日記事にした通り昨晩、株式への追加投資を行いました。追加投資の対象を全世界株にするか新興国株にするか迷いましたが、新興国株にしました。新興国株を選んだ理由は直近高値からの下落幅(全世界株で18.5%、新興国株で25.7%)で、全世界株にはさらに下落幅があってもおかしくないと考えたためです。

新興国株はその約1/3が中国株になっておりますが、現在中国への投資には多くのリスク(中国の景気減速と米国の金融引き締め、これらに加えてゼロコロナ政策の影響)が指摘されていることは認識しています。今回の投資にあたっては、景気減速は財政支援、ゼロコロナ政策は撤回、によって懸念が和らげられるのではないかと期待したものです。

また全世界株の約6割を占める米国株の割高感が、だいぶ払拭されたとはいえ引き続き残っていることも、全世界株を選ばずに新興国株を選んだ要因になっています。中国を中心とした新興国株への投資には確率は非常に低いものの地政学的なリスク(現在のロシア株のように売買できなくなることも考えられます)があることを考えると、全世界株がさらに下落した後であれば、追加投資先は全世界株になるかと思っています。

株式は安くなっており、引き続き追加投資の好機であるように思っています。ドルへの換金タイミングについては目をつぶり、株式がさらに下落した場合はどんどん株式へ投資したいと考えています。

(なお私にとってももう一つの投資先であるクレジット債は、金利上昇圧力の強い現在は魅力的な投資対象でないと考えています。このため、追加投資の候補とは考えていません)

reedonshore.hatenablog.com

株式市場に対する弱気な見方が急速に広がる中、私は馬鹿になって淡々と追加投資する

株式市場の下落が続いており、直近高値からの下落幅は全世界株で18.7%、新興国株で26.0%となっています(いずれもドル建て)。この下落の背景として、主に金融引き締めによる経済成長の減速とインフレの持続、いわゆるスタグフレーションのような状況を懸念する声や、中国の経済成長が鈍化することが材料視されています。

また最近では中国に対する懸念が特に強くなっているように思います。ゼロコロナ政策が中国だけでなく世界経済に与える影響、ロシアに対する経済制裁への取り組み姿勢や中国の監視システムメーカーに対する追加制裁に見られるように米中対立が大きくなる可能性、またロシア問題によって地政学的リスクを意識する考え方が投資家の間に広がっていることが中国に対する見方が変わった要因であるようです。

このような下落要因を認識しつつ、私は株式に割安感が出てきたと考えて、再び少しずつ買い増しを行っています。定期的に確認している米国のPERは5年平均を下回り、ただ10年平均は上回る水準です。少なくとも割高とは言えない水準まで下がってきたと言えるでしょう。このためこれまで新興国株を中心に買ってきたところ、全世界株も追加投資の候補にしながら、市場を眺めています。

株式への追加投資の好機と考えており、ドルへの換金タイミングは目をつぶることにしました。そして本日も、円安には目をつぶって手元の円の一部をドルに換金しました。このドルを米国上場のETFに投資していきます。

reedonshore.hatenablog.com

ロシア株の市況記事を読む。自分がロシアの個人投資家だったらどう動くか?

ロシア株に関する日本語の情報発信はあまり多くありません。そうした中で貴重な市況記事を読みましたので、その内容を記録しておきます。

同記事では先週のロシア株市場の動きとして、ルーブル高は上昇要因、経済制裁の内容をめぐる思惑は上下ともに左右しうる要因として捉えていました。ルーブル高の要因として、輸入業者の外貨需要が弱いこと(これは経済制裁によって輸入が困難だからでしょう。一方で輸出はエネルギーを中心に侵攻前ほどではないにせよ継続しています)、ロシア国内の資本規制を挙げています。いずれも認識していた要因ですが、私以外の人も同じように見ていたことが分かりました。短期的な今後の注目要因は、軍事侵攻や経済制裁、エネルギー価格の動向とのことで、これらも目新しいものではありません。長期的には外国人投資家の売り圧力をロシア株市場が受け止めることができるのかが非常に重要になるでしょう。

本日ふと考えたのが自分がロシア人だった場合、どのように資産を防衛するかです。ウクライナ侵攻直後から資本規制が始まり、外貨への換金は困難になっていると聞きます。
資産を海外に移せないのだとすると、戦争によるインフレで手持ちのルーブルの価値が下がるのがもっとも避けたい事態でしょうから、ロシア国内で価値の維持が期待できるモノを買うことになるのだろうと思います。実際に侵攻直後に車や高級ブランド品が飛ぶように売れたという話を聞いた記憶があります。
とはいえ私は車と高級ブランドのいずれにも詳しくなく、お店に行っても何を買えば良いのかよく分かりません。そうした人間にとっては、金や仮想通貨、保存の効く食べ物などを買うことになるのかもしれません。
またインフレに強いという意味ではロシア株は有力な候補になると思います。ウクライナ侵攻以来、意外に堅調なロシアの株式市場は(政府系の資金だけでなく)個人投資家が買い支えしているのかもしれません。

ともあれそうした事態に巻き込まれないよう、普段から国際分散投資を心がけておくことが一番大事だと思います。一方でロシアのファンドが米国等の西側諸国で資産凍結に近い状態になっている可能性はあるように思います。ロシア国内の国際分散投資家が今回の侵攻を受けてどのようなことになっているのか、明日以降調べたみたいと思います。

reedonshore.hatenablog.com

日銀が金融引き締め(=金利上昇)に転じにくい理由。円安はどこまで進むのか?

急速な円安や本格的な物価上昇の兆しを背景に、日銀が現在の金融緩和政策の転換を示唆するのでは、とする意見がありました。ただし連休前の金融政策決定会合では、現行政策の維持が再確認されています。そうした中で日銀が金融引き締め、つまり金利上昇の容認に転じにくい理由として、私があまり認識していなかった要因が紹介されていたので記録しておきます。

その理由とは地方銀行金利上昇による国債の評価減に耐えることができないのでは、とのことでした。融資先の確保が難しい地方銀行は集めた預貯金の多くを国債に投資していたと聞きます。その国債金利上昇によって評価損状態になると、地方銀行の経営が成り立たなくなる可能性があるとのことでした。
私が読んだ記事では、銀行経営が成り立たなくなった際は資本注入を行うことが想定され、資本注入の必要性を認めやすくするために地方銀行間の合併が促されてきたとのことでした。

資本注入は2000年代の初めに大手銀行に公的資金を注入した経緯があり、決して突飛な意見ではありません。その際の理屈は金融システムの安定のためだったと思いますが、ある程度の規模の地方銀行であればその地方の金融システムの安定のためという名目は成立するように思います。

日銀が金融引き締めに転じにくい理由としては他にも、金利が上昇すると国家財政が維持できるか分からない、保有債券の評価損によって日銀自身が債務超過となる可能性がある、といった理由が論じられています。金融引き締めに転じにくいのだとすると、物価の上昇を容認せざるを得ず、その場合は円は更に安くなることも考えられます。

こうした考え方が為替市場でどの程度織り込まれているのか、今後さらに織り込まれる余地があるのだとすると、円安がどこまで進むのか、少し空恐ろしい気もしますが見守っていきたいと思います。

reedonshore.hatenablog.com

取らぬ狸の皮算用。ドル建てのロシア株指数を円建て見てみると?

ロシア株ETFに投資している関係でロシア株の価格動向を注目しているのですが、普段確認している株価指数はドル建ての指数です。すでにドル建てでかなり値を戻していることは認識しているものの、円建てで見るとどのくらい値を戻しているのかを計算してみました。

私が確認している普段確認しているドル建てのRST指数に当日の為替レートをかけ合わせて円建てにした結果は以下の通りです。

2021/12/30 183,608
2022/02/24 85,821 ウクライナ侵攻の日(12月30日比で53%の下落)
2022/05/06 142,052 (12月30日比で23%の下落、2月24日比で66%の上昇)

ロシア政府による官製相場によって価格回復していた同国の株式市場が、円建てではさらに上昇していることが分かります。

問題はめでたく上昇したロシア株が、ロシア国外の投資家にとって現在売却不能になっていることです。先ほど官製相場による株価回復と書きましたが、「官製」にはロシア国外の投資家による証券取引が禁じられていることも含まれます。ロシア国外の投資家による売買が解禁された場合、巨大な売り圧力が同国の株式市場に襲いかかるものと思われ、この売り圧力をこなした後でないとロシア株の本当の価格は分かりません。

また西側の金融機関は経済制裁の関係か、ロシア関連の取引に非常に慎重になっているようで、私が投資しているロシア株ETFの西側市場での取引がいつ再開されるのかもまったく未知数です。

このようにロシア株が円建てで急回復していると言っても、その価格上昇は現在のところ絵に描いた餅と言えます。戦争が集結し、円滑な証券売買が再開されることを祈念しています。

reedonshore.hatenablog.com