岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

東京都区部の物価上昇率が1.9%に。日銀は出口戦略を円滑に実行できるのか?

東京都区部消費者物価指数の上昇率が1.9%となりました。それまで物価を押し下げていた携帯電話料金の引き下げ効果が剥落し、前月の0.8%の上昇から大きく跳ね上がったことになります。

日銀の金融政策目標とする物価上昇率は2%ですので、目標に近づいた印象です。日銀としてはコスト増を背景にした物価上昇は一時的なものであり、現在の金融緩和を続けていく方針とのことですが、コスト増を背景にした物価上昇が1.9%近辺で收まる保証はどこにもありません。現在の円安やエネルギー価格の上昇によるコスト増に企業が耐えきれなくなった時、物価はさらに上昇してもおかしくないように思います。

そうした時に日銀はコスト増を背景にしたものとして、現在の緩和的な金融政策を維持し続けるのでしょうか。金融緩和の継続は燃え上がるインフレに油を注ぐような行為ですので、現在の金融政策を維持することは難しいように思います。
とはいえ金融引き締めに転じて金利が上昇した場合、既に世界一の借金体質となっている国家財政が金利上昇に耐えきれるかどうかが分かりません。そしてそうした懸念が金融市場に広がってしまった時、さらなる金利上昇や円安が進むような事態も考えられるような気がします。

私が懸念しているようなハイパーインフレのような事態はこれまでも懸念されてきましたが、これまでのところ懸念を顕在化させることなくやり過ごしてきました。今回の円安は現在のところおよそ20年ぶりの水準まで円安が進んでおり、これまでやり過ごせてきたことが今後も継続できるのか、危うい気がしています。

セントルイス連銀のデータベースより

 

個人としてできることは外貨建資産を増やしておくくらいですが、ともあれ今後も為替や金融政策のニュアンスの変更には気をつけたいと思っています。

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ドルを買いたい人には朗報?昨晩のFOMCで0.75%の利上げが否定される

昨晩のFOMCでは事前の予想通り、0.5%の利上げと資産縮小の開始が発表されました。市場が反応したのは一部で予想されていた次回以降の0.75%の利上げをパウエル議長が記者会見で否定したことです。これを受けて株価は3%近い大幅上昇で反応しました。

ドル円市場では日米の金利差拡大を材料にドルが買われる展開が続いていましたが、想定されていた金利上昇のペースが落ち着くことになるため、昨日の記者会見の内容はドル安要因に働きました。一時128円台まで下落したドルはその後再び値を戻してしまい、現在ではFOMC前とほぼ変わらない130円近辺で推移しています。

私は今年の株式市場は利上げという逆風が吹くため、株式は下落基調が続くと考えています(債券は言わずもがなです)。ただし株式に対しては10年単位の長期では引き続き強気であり、このため今年の下落局面は絶好の買い場だと考えています。昨晩の発表で上昇した株価ですが、今後継続する利上げに反応し、株式市場は冴えない展開が続くように思います。

また私は米国上場のETFを通じて株式に投資しており、投資にあたって手持ちの円をドルに換えておく必要があります。昨晩までの株安局面で追加投資しなかったのは手元のドルが少なかったという要因もあったので、少しでもドル安になった局面ではドルへの換金を進めておきたいと考えています。その意味で昨晩のFOMCを材料にしたドル安は絶好の買い場だったのですが、この買い場は今のところ一時的なもので終わってしまったようです。

明日は日本の市場参加者が戻ってくるため、ドルが安くなることも考えられます。そうした局面では躊躇なくドルへの換金を進めたいと思っています。

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4月末の資産チェック。急速な円安が株・債券の下落の影響を和らげる

4月末時点の資産チェックを行いました。今月は株式(VT、ドル建て)は8.1%の下落、クレジット(JNK、ドル建て)は4.8%の下落となりましたが、その下落を為替(ドル円)の6.7%の上昇が埋め合わせる形になり、資産全体で約1%の下落となりました。

資産の大半をドル建て証券で保有している私にとって、円安が価格下落の影響を和らげました。とはいえ価格が下落した際に実行するつもりだった追加投資は手元にあったドルが不足しており、十分な額を投資することができませんでした。今回の下落局面はすでに終わっているわけでもないでしょうし、今後も下落する可能性はありますが、買いたいタイミングでドルが不足しており、それ故に十分な投資ができなかったことは反省材料なのかもしれません。

セントルイス連銀のデータベースより

 

ただドル不足によって、結果的にタイミング分散が可能になったと肯定的に捉えることも不可能ではありません。自身の売買履歴を振り返ると、ここが買い時と思って一気に追加投資したものの、追加投資のタイミングが早すぎて、本当の底で投資することができなかったということが定番になっています。そうした事態を回避することができたかもしれないということです。

ドル不足が発生したのは少しでも良い価格でドルに換金したいという邪な気持ちゆえで、株式と為替の変動幅を考えるとドルへの換金タイミングを考えることはあまり意味がないことは頭では理解しています(とはいえ最近のように為替も大きく動く時は動くので、完全に無視すべきでもありません…)。

今回の市場下落は手元の現金を投資に回す好機だと思っているので、今月も下落が続いた場合は涙を飲んで高値で円をドルに換金し、しっかりと追加投資したいと考えています。

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なんだかんだで債務不履行を回避しそうなロシア。その狙いは?

ロシアは米ドル建て国債の支払いをめぐり、債務不履行になるのではと言われてきましたが、当面の債務不履行を回避する方向であるようです。

ロシアは米ドル建て国債の支払いを米国にある外貨準備を使って対応しようとしていたところ、この資金が凍結されたことから支払いに応じることはできないと反発し、ロシアは債務不履行となるわけではないと主張していました。純粋に法律論な観点ではロシア側の主張にも一理あるようで、このままロシアがその主張を続けた場合にどうなるのか注目していましたが、結果的にロシア国内のドルを国債支払い用に海外送金することで債務不履行を回避すると目されています。

私は米ドル建て国債保有者はロシア外の投資家(その大半は西側諸国の投資家と思われる)であることから、経済制裁としてロシア国債の利払いを妨げるような政策は西側諸国にとっても得策でないように思っていました。今回、結果的にロシア国内のドルを引き出したことは、西側諸国の投資家は経済的に傷つかず、またロシア国内にある(ロシアにとって)貴重なドルを引き出させたという意味で、西側諸国の思惑通りの展開になったと思います。

このようにロシアにとっては損なばかりの選択ですが、なぜロシア政府は国債支払いに応じたのでしょうか。ある記事によるとロシア国債債務不履行が、ロシア企業の資金調達の妨げになることを避けるためだったのではと分析されていました。企業の格付けはその所属する国の格付けを基準に決まることが多いため、ロシア国債債務不履行になるとロシア企業が国際市場で資金調達することが難しくなります。

この説明は理屈としては分かるのですが、ロシア企業が国際金融市場で資金調達することが実質的に不可能である今、なぜロシア政府がそのような配慮をしたのかが分かりません。ロシア企業の資金調達に協力するロシア外の金融機関が、現時点で存在するとは思えないからです。ロシア政府が近い将来のロシア企業の国際金融市場への復帰を考えているのだとすると、それが現実化した時はロシア株も海外投資家に再開放されているはずです。

今のところロシアが国際金融市場に復帰する将来はまったく見えてきませんが、ロシア株ETFに投資した身としては

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そんな将来を祈念しています。

 

商品(コモディティ)や金は良い投資対象と言えるのか?

定期的に読んでいるブログでインフレに対応した資産への投資の必要性が紹介されていました。

その記事では景気とインフレ動向によって4つの局面に分け、景気拡大期は先進国株式、停滞期は米国債もしくはハイイールド債(下落時の戻りの早さに着目)、インフレ期は先進国REITスタグフレーション期(高インフレの景気後退期)は商品や金への投資することを提案する資産運用会社のレポートを紹介しています。

インフレに対応した資産の必要性について考えていたこともあり、紹介されている資産運用会社のレポートも含めて読んでみました。このレポートでは商品や金について、インフレ期に上昇するものの、リターンの安定性は期待できないとして、インフレ期の投資対象として先進国のREITが良いとしています。また先進国株式(レポート内では米国株式)もその安定性から中核資産として期待できるのではとしています。

インフレ対応というと商品や金が連想されますが、インフレ期以外に商品や金の実績は良くないことはその通りです。私は、商品や金は何かを産み出すものではないという単純な理由でこれらに投資していませんでしたが、そうした直感を補強してくれました。インフレ期に良い実績をあげても、それ以外の時期がダメであれば、投資先を切り替える必要があり、自分にその才覚がないことは理解しています。

となるとインフレに対応した資産として残る候補は先進国のREITということになります。不動産投資の是非についてはじっくりと考える必要があると思っており、また記事にするつもりです。

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ロシア中銀の追加利下げ。自らの意に反しても仕事を継続するロシア中銀総裁

ロシア中銀が追加利下げを行い、政策金利を14%まで引き下げました。

ロシアの政策金利ウクライナ侵攻直後の緊急利上げで9.5%から20%に引き上げられた後、金融市場の安定を受けて引き下げられ、20%→17%(2022年3月)→14%(2022年4月)と引き下げられています。

ロシアでは様々な政策手段を通じて金融市場が管理されているようで、それ故に当局者は極端に高い政策金利を利用しなくても通貨や金融システムを守ることは可能であると判断したのでしょう。
金融市場の崩壊は免れたようですが、西側諸国の経済制裁の影響を受けてロシア経済は厳しい状況が続いています。このためロシア中銀は今後の金融政策の重点を金融市場の防衛から経済に対する金融的な支援に移行させる方針のようです。

中央銀行の長としてこうした金融政策を司っているのがナビウリナ総裁です。この方はこれまでの任期を通じてロシアの金融市場の発展や国際化を進めてきた人物と、西側市場からも高く評価されていたそうです。この度のウクライナ侵攻を受けて同氏は辞職を申し出たそうですが、プーチン大統領から引き止められて留任することになったそうです。
(私が読んだ記事では、このタイミングで辞職することをプーチン大統領は裏切りを見なすだろうとの観測が書かれていました。辞めるに辞められない状況のようです)

ナビウリナ総裁個人としてはウクライナ侵攻を結果的に支援する仕事を行うことに複雑な思いがあるのでしょうが、それにも関わらず少なくともこれまでのところ、与えられた職務を期待通りにこなしているようです。私はロシア株ETFに投資していることもあり、戦況に加えてロシアの経済状況に強い関心を持っているのですが、自らの意に反しても仕事は期待通りにこなしているナビウリナ総裁にはその役割以上の関心を寄せています。

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下げ渋るようになったように見える新興国株

昨晩の米国株市場は大幅下落。アマゾン社の決算が材料視されたとされていますが、メタ社(旧フェイスブック社)の決算を材料に急反発した反動との解釈もされています。金融政策の引き締めが鮮明化する中で株式市場は下落基調で推移していました。金融引き締めによって株価が下落することは教科書通りの展開であり、企業業績が堅調であるにも関わらず下落することは理解できます。

このような環境の下、これまで先進国株以上に下落していた新興国株が、最近は下げ渋っているように思えます。昨晩の下落局面でも新興国ETFの価格はほぼ動かず(若干の上昇)となっています。新興国株は中国の政治リスクや米国の金融引き締めによる資金還流が懸念されて下落してきたわけですが、これらの懸念材料を市場は織り込んだようです。

私は最近では新興国株を中心に追加投資を行っていたのですが、新興国株が下げ渋るようになったのであれば、今後の追加投資先は米国を中心とした全世界株に切り替えても良いかと考えています。金融引き締めによる景気減速を織り込んでか、全世界株もずいぶん安くなってきたように思えるからです。

幸いなことに私が利用している証券会社は全世界株の米国ETFの取引手数料を無料としており、全世界株は細かい金額で少しずつ追加投資することが可能な環境です。今後は全世界株と新興国株の魅力度についてじっくり考える必要があるかもしれません。

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