岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

物価上昇の本番はこれからか。物価上昇を後押ししているように見える財政・金融政策

アップルが日本での販売価格を値上げしました。同社はその理由を明らかにしていませんが、円安がその原因と目されています。このことを伝える記事ではこうした動きは他の電機メーカーに波及する可能性があると指摘しています。
値上げ圧力にさらされているのは電気製品だけでなく、非製造業を含めた産業全般に広がっています。これまでは企業努力で値上げを吸収してきたわけですが、我慢の限界に近づきつつあるようです。

物価上昇に対し、政府は補助金を通じた生活支援を検討しているそうです。また日銀は今回の物価上昇は生産コスト上昇による「悪い物価上昇」だとし、高い経済成長・賃金上昇を背景とした「良い物価上昇」が実現するまで、現在の緩和的な政策を継続する意思を表明しています。

私はこれらの対応は、物価上昇をより強める方向に働いていると考えます。
物価上昇は現金の価値が低下するために起こる現象です。生活支援の補助金がどれだけの規模なのかは分かりませんが、市場に出回る現金を増やすことは現金の価値を増やすことにはならないでしょう。こうした対策は物価上昇で本当に困っている人に限った対策であるべきだと考えています。政府が真にすべきことは日本の生産性向上に資する政策を実行し、生産性向上が賃金上昇を導く好循環を生み出すことなのでしょうが、そのために政府ができることは余計な規制を撤廃し、民間の活力をいかんなく発揮させることでしょう(自らが生産性向上のために重点産業を探すなど、余計なことは間違ってもすべきではありません)。
また日銀が現行政策を維持することは、日米金利差の拡大を背景にした円安をさらに強化するでしょう。今後も米国では利上げが予想されており、日米の金利差は拡大する一方です。

このように考えると政府・日銀の対応は物価上昇の本質的な対応策にはなっておらず、それどころか物価上昇を後押ししているようにすら見えます。選挙を控えて物価上昇にまったくの無策というわけにはいかない事情は理解できますが、選挙が終わったところで物価上昇として本来やるべきことに回帰すべき(できるのであれば、ですが…)だと考えています。

reedonshore.hatenablog.com