岸辺の日記

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ロシア中銀がルーブル高対策に乗り出し、ルーブルの価値が下落する

ロシアのウクライナ侵攻によって一時的に急落したルーブルはその後、ロシア当局によるルーブル防衛策と資本規制によって値を戻し、現在では侵攻前よりも高い価値で取引されています。ルーブルの価値が侵攻前より高くことには強い違和感を感じますが、ロシア当局もさすがに対策が強烈すぎたと考えたようで、政策の修正に動き始めています。

本日はロシア中銀が1ヶ月で3回目の利上げを行ったことが記事になっていました。ロシア中銀はウクライナ侵攻直後に政策金利を20%まで引き上げてルーブル防衛に動きましたが、今回の利下げで政策金利は11%まで引き下げられ、ウクライナ侵攻前の9.5%に近づいています。今回の利下げ幅(3%)は事前予想よりも大きかったようで、このため為替市場でルーブルの価値は下落しています。今後はルーブルの価値を毀損させない範囲で、輸出代金の80%をルーブルに換金させる制度やロシア国内居住者への外貨購入制限を、少しずつ緩和させていくのでしょう。

そもそも当局がこうした強烈な対策を打ち出すことができるのも、経済制裁によって国際間取引が不可能になっているためと言えます。為替市場では「為替の安定」「金融政策の裁量」「自由な資本移動」の3つは同時に成立しないと言われていますが、経済制裁によって「自由な資本移動」が不可能になってしまった今、ロシア当局はその金融政策によってルーブルの価値を守ることができるわけです。
(平時であれば無理なルーブル高が発生するとロシア国内から海外へ資金が移動し、ルーブル高は修正されたでしょう)

昨日記事にしたように原油・ガスの価格上昇だけでなく、農作物の価格上昇もロシア経済を下支えすることになりそうです。経済制裁を通じた早期の戦争終結は難しいようですが、ロシア株ETF保有者としては戦争の早期終結と、経済取引の再開を願っています。

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