岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

少しがっかり…よくよく調べたらロシア株上昇の主要因はルーブル高だった

ウクライナ侵攻が起こった2月24日に米国上場のロシア株ETFを購入し、その後売買停止の憂き目にあっているものの、ロシア株の価格が上昇していることに満足していました。ところがロシア株上昇の背景を改めて確認したところ、その上昇のほとんどが為替要因であることが分かり、少しがっかりしたというお話です。

大前提として現在のロシアの金融市場は厳しい資本規制下にあり、現在の取引価格が自由な取引に基づく正常な価格でないことは理解しています。とはいえロシア株に一定の評価額がついていることは、あって欲しくないことですがETFの運用会社がETFを早期償還する際に、考慮せざるを得ない事実だと考え、表面的な価格の上昇を歓迎していました。

私が確認していたロシア株の指数はRTS指数という米ドル建てのロシア株指数で、この指数の上げ下げにはルーブルと米ドルの為替レートの影響が含まれます。一方でルーブル建ての指数でMOEX指数があり、今回新たに確認したのはこの指数です。ウクライナ侵攻以降の両指数とルーブルの変化率は以下の通りです。

RTS指数:+52.4%
MOEX指数:+12.1%
ルーブル(対米ドル):+25.0%

RTS指数の上昇の多くがルーブルの上昇によるものであることが分かります(1.12×1.25=1.4で、52%の上昇と一致しないのは両指数の構成銘柄が一致していないこと等によります)。ルーブルの上昇はロシアが西側諸国に対し、エネルギー取引をルーブル建てで行うよう求めていることが背景とされており、人為的なルーブル高と言えます。外国人投資家による売買が不可能になっている株式市場で付けられた株価も同様ですが、ウクライナ侵攻前のように自由な売買が再開された場合に今の為替レートが維持されると考えることは難しいと言えるでしょう。

このように考えるとロシア株の評価として参照すべきなのは、人為的な為替市場の影響を除いたルーブル建てのMOEX指数の方なのかもしれません。MOEX指数はロシア国内の市場参加者が、戦争終結後の経済状況を考慮した上で行った売買結果を反映しているからです。ただ市場参加者と言ってもロシア国内の政府系ファンドであったりするようで、彼らの売買も人為的なものですから、戦争終結後の経済状況を十分に考慮したとは言い難く、MOEX指数も完全とは言えません。

このように両指数ともロシア株の実態を表したものでない以上、私が第一に確認すべきはRTS指数なのだと思います。私が投資しているのは米国上場の米ドル建てETFであるため、理屈の上では正しい参照指数であるからです。そしてロシア国内の投資家の評価を確認する意味で、MOEX指数の動向も合わせて確認しておくべきだと思いました。

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