岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

日本国民の勤労意欲。フランスの定年延長に対する反対運動を受けて

フランスで定年を62歳から64歳に引き上げる案が検討されており、労働組合等はストライキも辞さずと、これらの案に反対しているそうです。フランス政府としては社会制度を維持するために、高齢者の労働参加率をを増やさざるをえないと考えているようです。

この記事を読んだ時に思い出したことは、日本における定年延長がかなりスムーズに実行されたことです。日本の定年は1970年代に55歳から60歳に引き上げられ(これは年金支給開始時の引き上げによって、労働者側が定年延長を要求)、同じように2000年代に60歳から65歳に引き上げられています。60歳から65歳への定年延長がスムーズに実行できた理由として、移行に時間をかけた(2000年の企業に対する努力義務化に始まり、2013年にすべての希望者が65歳まで働くことになりました)ことや少子高齢化により労働力の減少が予想されていたことに加え、そもそも日本の労働者が長く働くことを希望していたことが大きいようです。

私がネット検索したところ、2010年時点で望ましい退職年齢を65歳としている人の割合は38%、70歳としている人の割合も26%となっています。これらの勤労意欲は外国に比べて突出して高いようですが、一方で日本の労働者は会社に対する忠誠心や帰属意識が薄れているという統計を見た記憶もあり、勤労意欲が高い理由はとても興味深いところです。

先ほど引用した統計は2010年のものですが、10年が経過し、またコロナ禍を経て、労働者の勤労意欲は変化しているように思います(この統計の最新版を確認しましたが、同じ質問がなくなっており、直近の結果は確認できませんでした)。現在の社会保障を維持することが難しくなった時、日本社会は労働者に定年ないし労働期間の延長を求めるのでしょうが、その時に労働者がどのように反応するのでしょうか。60歳から65歳への引き上げ時とは異なる反応になるような気がしています。

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