岸辺の日記

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FRBは気候政策当局ではない。パウエル議長のもっともな意見表明

気候変動等の環境問題を社会全体が取り組みべき課題として、公的セクターに対して積極的な取り組みを促す意見があります。公的セクターの中には中央銀行も含まれ、仮に中央銀行が環境対策に積極的に取り組んだ場合、その影響は力甚大でしょう。例えば環境に配慮した融資を行うように銀行を監督する等が考えられます。

こうした環境問題への積極姿勢を求める意見に対し、パウエル議長が慎重な姿勢を示しました。「議会による明確な法制化がない限り、環境問題により積極的に関与するのは不適切」と考えているそうです。

議長はFRBが限定的な責務を負っていることは認めており、また環境問題に対して中央銀行が役割を果たすことについての是非を述べているわけでありません。現在、FRBに課されている目標に環境問題は含まれておらず、それが明確になれば(つまり議会による法制化がなされれば)、積極的に取り組む可能性を否定しているわけではないのです。

私は環境問題のように一見多くの人が賛同する取り組みに対し、公的セクターが曖昧な根拠に基づかずに取り組むことに疑問を感じていました。問題に取り組むための費用は税負担になるためです。このため今回のパウエル議長の意見表明に、私は好感をいだきました。公的セクターはややもすると自身の職務を幅広に捉え、職権を拡大させる傾向があります。職権の拡大は予算の拡大(税負担の増加)を必要とするため、余計な職権の拡大がないかを国民や議会は注視すべきだと思っています。

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