岸辺の日記

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日本政策投資銀行が投資会社へ。組織の肥大化は宿命的なもの

日本政策投資銀行がその主力業務を融資から投資へ切り替えることを計画しているようです。

日本政策投資銀行については株式会社に転換し、国が100%保有するその株式を売却する方針が決まっていますが、東日本大震災に関連した融資への対応もあり、売却計画は棚上げされている状態と認識しています※。今回の投資事業への注力は、将来的な株式売却に備え、国が株主であり、それゆえにリスクの取れる現在のうちに、企業としての収益性を高めておこうということかと思いました。民間銀行が貸出先の確保の苦心する中、政策投資銀行も貸出先の確保には苦労しているでしょうから、投資事業に注力する方針は経営方針として正しいように思います。

問題はそれが国が株主である間に行われることです。投資事業がうまく行かなかった場合、その影響は政府の保有株式の価値の減少という形で現れてしまいます。株式会社となり形の上では民営化しているとはいえ、国が100%の株式を保有する組織が投資事業をうまく管理できるのか、今後が注目です。

この計画はまた、組織が宿命的に肥大化していくことの証明と解釈することも可能だと思います。政策投資銀行の設立趣旨に投資業務が含まれていなかったわけではないようですが、とはいえ当初の主力業務は融資業務であったわけです。融資業務がうまく行かないのであれば、無理せずに同業務を縮小し、最終的に歴史的な役割を終えることも、公的な組織であるがゆえに可能だったと思いますが、そういうわけにも行きません。

組織が肥大化していくことは、一般的な民間企業でも見られる現象であり、決して悪いものでもありません。企業は昨年よりも多い利益を目指し、継続的に改善するものであり、そうした努力を「肥大化」と表現するほうが、意地の悪い見方なのかもしれません。とはいえ公的な組織が、組織の宿命に合わせて大きくなっていくことについて、国民は警戒すべきだと思っています。

※政策投資銀行東日本大震災に次いで、コロナ関連でも融資活動を行っているようです。そうなると国が保有する株式の売却はさらに遅れるのでしょうね…

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