岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

取締役会で実効性のある議論を行っていたクレディ・スイス

スイスの金融大手グループ、クレディ・スイスの財務健全性が市場で注目を集めています。同社は投資銀行部門の一部を売却する等の再編が取りざたされていましたが、それらが決定する前に意図しない注目を集めた形になります。ただ同社の財務は健全なようで、破綻等は想定しなくて良いようです。そのような見通しが広がったこともあり、同社の株価は小幅な下落にとどまりました。

クレディ・スイスについては投資銀行部門の一部売却を報じる記事を読んだ際、取締役会で実のある議論が行われていることが紹介されていて、取締役会の実効性に感心した覚えがあります。その時の記事を読み返すと投資銀行部門の縮小をめぐっては取締役の間でも様々な意見があるようで、取締役会でそれぞれの意見を取り交わしているそうです。

取締役会と言うと事前に定められた結論を了承する意思決定の場という印象があり、そうした使い方も決して間違っていないと思います。この場合、取締役の知見は事務局による事前説明を通じて反映されるのでしょう。ただし複数の取締役が顔を合わせて意見交換して意思決定を行ったほうが、より良い意思決定につながるように思います。取締役会の場で議論をするため、意思決定できる議案の数は減ることになります。このため取締役会での議決が必要な案件の数を減らす等、取締役会の運営方法を工夫する必要があるでしょう。

取締役会の結論が結果的に間に合わなかったクレディ・スイスですが、企業統治の点では学ぶべき点もあるように思います。

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