岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

企業に期待される社会的責任の範囲とは?

豪州では売上高が1億豪ドル(約83億円)を越す企業に対し、商品供給における奴隷制のリスクをどう管理しているのかの報告義務が課されているそうです。奴隷制といってもピンと来ませんでしたが、具体例としてIT機器の製造や原料調達(スズや金)における労務管理において、移動の制限や金銭支払の遅延といった事象が見つかっているとのことです。

なるほどこうした事象が世界で起こっていたとしても不思議ではなく、こうした問題を看過すべきでないのは大企業に限ったことではありません。こうした問題に取り組む企業は大いに評価されるべきでしょう。
一方でこうした問題は企業が取り組むべき問題なのだろうか、という疑問も生まれます。具体例として挙げられた事象は途上国であっても違法なことであると思われ、仮に現地法で違法でないとしても国際機関の介入によって解決すべき問題とも思えるからです。

記事で紹介された解決策は、概ね問題のある業者との取引を解除するというものでした。たしかに私企業は法執行機関ではなく、違法なことを直接取り締まれるわけではありません。大企業と言えども私企業にできることには限界があるわけです。

私はこうしたことは消費者の選択(奴隷制の問題に熱心な企業の商品を選好する)によって解決されるべきと考えています。ただ考えてみると、最終消費財を提供している企業であれば消費者の選択による牽制が働きますが、企業相手の事業を展開している企業ではそうした牽制は働きにくいと思います。そうした企業を念頭において報告義務を課すのは変なことではないと思いました。

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