岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

ウーマノミクス銘柄の不振は女性の社会進出の意義を示すものではない

ウーマノミクス銘柄の不振を分析する記事を読みました。この銘柄群は女性の雇用増と消費増加の恩恵を受ける企業で構成されているようで、消費関連銘柄が多く含まれているそうです。その消費関連銘柄が物価上昇懸念で業績に対する懸念が強まっていることが、不振の背景とのことでした。こうした結果が出てくると「女性の社会進出は無意味なのでは?」といった意見が出てくるかもしれませんが、この解釈は飛躍した考え方だと思います。

冒頭で紹介したように、女性の雇用増と消費増加の恩恵を受ける企業という選定基準から消費関連銘柄が多く含まれていることは、この銘柄群が特定業種の影響を強く受けることを示していますし、また選定基準に照らし合わせて本当に適切に企業が選定されたのかも分かりません。また女性の社会進出によって社会が本当に変わるには10年単位の時間が必要と思われ、仮に選定基準が正しいものであったとしても、その成果を測るには長い時間が必要だと思います(ウーマノミクスという概念が出てきたのは2000年代前半なので、期間という意味では十分ではありますが…)。

今回は女性の社会進出という視点で行われた銘柄選択ですが、これはESGであったりSDGsという視点に置き換えても同様だと思います。選定基準が思わぬ偏りを産んでいないか、選定基準が正しいか、適切な評価が可能となるだけの時の審査を経ているか、こうしたチェックを通過した戦略だけが、その概念の評価の材料の一つになるわけです。またそもそも株価の推移だけでその概念の正しさを判定することは適切ではありません。生産者人口の現象に苦しんでいる日本にとって、女性の社会進出はした方が良いことは明らかだと思います。

仮に概念(女性の社会進出、ESG、SDGs等)に賛同できたとしても、その概念が銘柄群という形で正しく反映されているとは限らないことは、資産運用を通じてこうした概念を応援することの難しさを、示しているように思います。仮に女性の社会進出の恩恵を受ける企業に投資したい場合、その意図を金融機関に任せるのではなく、自分で企業を調査し、投資対象を探す必要があると思っています。

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