岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

アルゴリズムに駆逐されない仕事とは

大規模な取引を行う場合や株式のような取引市場が存在しない場合、証券取引の売りと買いはトレーダーによってマッチングされます。そしてこのトレーダーの役割は近年コンピューターに取って代わられつつあると言われます。多くの情報を消化して瞬時に最適な価格を提示する仕事はいかにもアルゴリズムが得意としそうな仕事です。正確に把握していませんが、おそらく株式や先進国の国債市場はおそらくアルゴリズムによる売買の割合が圧倒的になっているものを思います。

このようにコンピューターに押され気味のトレーダーですが、中国のような新興国市場の債券市場ではトレーダーが引き続き存在感を保っているという記事を読みました。この記事によると新興国の債券市場は、人的ネットワークから得られる情報や書面に書かれていない情報を把握していないと価格評価が難しいそうで、このためトレーダーを介した売買が引き続き優勢になるそうです。

記事では破綻リスクのある企業の債券で予想不能な動きを発行体企業が行った事例、条件が複雑な債権の存在、ソーシャルメディアの読解力など、アルゴリズムでは対応できなさそうな事例を紹介しています。こうした情報や要素をコンピューターが正しく考慮するのは難しそうで、たしかに人を介した売買が求められるように思います。

一方で先進国市場では、発行体企業の予想不能な動きの察知やソーシャルメディアの読解力は、法律や市場のルールによって規制されるため、必要な能力にならず、このため売買の仕事はアルゴリズムによって代替されるのでしょう。また取引量や市場参加者が多いことも、試行回数や理論通りの価格に収斂しやすいという意味で、アルゴリズムによる取引を容易にさせる要因だと思います。

このように考えるとアルゴリズムに駆逐されない仕事とは、法律等による規制が働きにくい分野で、業務内容が定型化されておらず、なおかつ業務発生の数が少ない、こうした条件が揃う仕事になるのでしょう。

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