岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

ロシア株ETFの売買が停止される。償還は避けてほしいものの…

本日も引き続きロシア株ETFの観察日記です。昨晩は証券取引所でのロシア株ETFの取引が停止されました。すでに大口取引である投資口の新規設定や解約は停止されていたものの、取引所で行われる設定済み投資口の取引は継続されていました。今回はこの設定済み投資口の取引が停止されたわけです。これをもってロシア株ETFを取引することは完全に不可能になりました(昨晩までは日本の証券会社が米国市場への買い注文の受付を停止していました)。

ETF運用会社が公表した文書によると、NY証券取引所が投資口保有者の利益を守るために市場での売買を停止することを決定し、運用会社もその決定に賛同したとのことです。今回は取引価格が理論価格を上回る状態が続いていたため、投資口保有者の利益を守るのであれば市場での売買を継続した方が良いはずですが、ともあれ証券取引所としては取引価格と理論価格の乖離は放置できないということなのでしょう。証券取引所が市場参加者(今回で言うとロシア株ETFを買おうとしていた投資家)を守ろうとすることは、おせっかいだと思うものの、百歩譲って理解できます。

こうしたことが起こると心配になるのが、ETF運用会社がETFの運用を停止し、償還してしまうことです。すでにロシア株のレバレッジETFは売買停止となった後に償還が決定し、ETF保有資産が現金化されています(償還後はこの現金が投資口保有者に振り込まれるようです)。レバレッジETFデリバティブを通じてロシア株へ投資しているため、市場の乱高下によって価値がほぼ無価値になり、時間の経過によってほぼゼロになった価値がさらにゼロに近づいていく(価値が回復しない)ことはよく起こります。このためレバレッジETFの場合、早期に償還の決定を行うことは保有者の利益になることも多いと思います。

ただし現物株式に投資するETFの場合、運用を継続してさえいれば、株価が回復する可能性があり、私を含めた投資口の保有者はそれを期待していると思います。先日記事にしたように市場が再開されれば価格はある程度回復する(急落前の価格を100%とすると、2%まで下落した価格が10%に戻るような回復です)ことが予想されるため、今のような価値がほぼゼロの状態で償還されるのは避けたい事態です。

とはいえこれは投資口保有者の視点であり、運用会社の視点から見ると価値がほぼゼロになったETFの運用を継続する経済的な意義はありません。運用にかかる経費をファンドの保有資産から引き落とす際、ファンドの内の現金がなくなった後はほぼ価値がゼロになった保有証券を売却することになるでしょうから、このまま市場の売買が再開されない状態が続くと、ほぼゼロになったファンドの価値が完全にゼロになる、つまりレバレッジETFと同じような事態に陥ることも十分に考えられます。こうなった場合、たしかにロシア株ETFの償還も現実的な選択肢となるわけです。私はETFの運用継続を希望していますが、はたしてどうなることやら…

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