岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

米国務長官がルーブルの今後の下落を予想する。ロシア関連証券の取引制限は経済制裁と言えるのか?証券発行を制限すれば良いのでは?

国務長官ルーブルの価格回復に対し「人為的な相場下支えの結果であり、持続不可能」と分析しているそうです。先日当ブログで記事にした通り、ロシアの資本市場では当局の強力な規制の下、限られた投資家(当然のことながら外国人投資家は排除されています)によって売買されていますから、米国務長官の分析はその通りだと思います。私も市場が外国人投資家に開放された後、ルーブルやロシア株の価格は下落すると予想しています。

一方でこのような規制はロシアの資本市場だけでなく、西側の資本市場にも適用されています。ロンドン等の海外市場に上場されているロシア株(ないし関連証券)の売買は停止されていますし、西側の主要銀行もルーブルの為替取引に極めて慎重になっていると聞きます。このためロシアの国内市場はもとより西側諸国の市場においても、ルーブルやロシア関連証券の真の価値が分からない状態が続いています。
西側諸国でロシア関連の証券取引が制限されている理由は経済制裁です。ロシアに資金が流入しないようにすることに加え、ロシア関連の証券が取引されることで証券に価値(価格)が付き、発行体がその価値に基づいて新たな証券を発行する(資金調達する)ことを防ぐ意図があると理解しています。

ただ私は発行済証券の売買を制限することにどれだけの意義があるのか、疑問に思っています。上記のような証券発行による資金調達を制限したいのであれば、証券会社を監督すれば良いためです。またそもそも現在、評判が傷つくことを恐れ、ロシア関連企業の資金調達に協力する西側の金融機関は現れないでしょう。

現在のロシア政府の意図は、厳しい規制の下で資本市場を運営して価格変動を管理できる範囲内に抑えておいて、徐々に規制を取り除いていく方針のように思います。そうした中で西側諸国内で証券売買が制限されていることは、ロシア国内の官製相場の価格に基づいた資金調達(西側の金融機関には無理でも、ロシアの金融機関には可能です)を間接的に支援する可能性があるような気がします。ロシア国内の投資家も自分たちが売買する証券が海外市場でどのくらいの価値で評価されているのか、気になるでしょうから。西側諸国の投資家による売買を可能にして、ルーブルやロシア株の価値を急落させることこそが、ロシア国内における資金調達を妨げるように思うのですが、いかがでしょうか?

※私はロシア株ETFに投資しており、ある意味でポジショントークであることは自覚しています

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