岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

お酒の販売停止に関する”お願い”

先日、ヒトラーを主人公にした映画を題材に、国家に協力することについて考えた記事を書きました。そのことを思い出させるニュースがありました。

reedonshore.hatenablog.com


昨今の飲食店は新型コロナ対策として営業を実質的に制限されるなど、すでに相当な苦労をしています。この度の緊急事態宣言の発動に合わせ、それに加えて酒類の提供に関する制限を徹底することを、政府当局は考えているそうです。
その手段として考えたのが金融機関(銀行等)を通じて圧力をかけること。これは記者会見でその旨を発言したところ、すでに猛烈な反発を受け、撤回することになりました。銀行等がその地位を利用して取引先企業に圧力をかけることは禁止されていたはずなので、従来方針からの整合性を考えると、撤回は当然だと思います。

この他に問題になったのが国税庁を通じ、酒の卸業者に対し、お酒を売っている飲食店へ商品を卸すのを止めてほしいという”お願い”です。この”お願い”については酒類販売の許可を管理するのが国税庁であるため、規制上の矛盾はないようです(間違っていたら教えてください)。ただ同時に出てきた”金融機関を通じた圧力”という方策が悪手だったことと、何より世論の反発が大きく、実質的に撤回することになったようです。
そのことを伝えるニュース番組で官房長官の発言が「いずれにしてもこれはお願いですから」というもの。お願いであり強制するものではない、ということのようです。国家による”お願い”に協力するかどうかについて、やはり慎重に考える必要があることを改めて考えさせられました。

加えて思ったのが、世論の反発を受けて方針を撤回する政府の柔軟さの良さです。政府へ権力が集中している国であれば、政府が示した方針がすぐに撤回されることは無いでしょう。「そもそももっとよく考えて方針を発表しろ。だらしない…」というツッコミはあるでしょうが、この点に限っては、日本は良い国だなと思っています。