岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

ESGやSDGsに取り組む根拠。資本市場を通じたグローバル化について

ESGやSDGsに取り組む根拠を問う、とても興味深いブログ記事を読みました。

その記事ではまず、コロナ禍の初期に政府が銀行を通じて飲食店に対して自粛を強制させようとした(自粛しない企業に対する融資を引き上げるように指導しようとした)ことに対し、世論が反発したことを紹介します。選挙によって選ばれた政府がであっても、銀行を通じて企業に圧力をかけることは否定されたわけです。
同じ論点でESGやSDGsを振り返ると、国民的な議論を経て承認されたわけでもない概念を、金融機関(銀行だけでなく資産運用会社や証券会社など、幅広い企業が実施主体になります)を通じ、取引先企業に圧力をかけていると言えるわけです。ただESGやSDGsに対するそこまで強い反発は、あまり聞いたことがありません。
私が読んだ記事ではESGやSDGsに対する社会的な合意が明確になっていないで、ESGやSDGsに邁進することの危うさを指摘しています。

私はESGやSDGsに対して違和感を感じていましたが、その違和感の一つが明確になった気がしており、大変参考になりました。と同時に社会的な合意が取れていない中でESGやSDGsが強力になる背景として、資本市場を通じたグローバル化があるのではないかと思いました。株式投資が分かりやすいと思いますが、特定の考え方に基づいて行動する投資家が市場に大きな影響をもたらしている場合、その考えが正しいか間違っているかはともかく、市場の価格形成にその考え方は大きな影響をもたらすわけです。

日本の株式市場は、外国人投資家の影響を強く受けるようになったと言われています。これは良いとか悪いとかではなく、グローバル化の結果として当然起こりうることです。ESGやSDGsという概念を受け入れている外国人投資家が存在感を増している中、こうした投資家の売買により株価にはESGやSDGsの影響が出てくるはずです。仮に日本の投資家がこれらの概念に賛同していなかったとしても、株価という形でその影響を受けてしまいます。また日本の金融機関がESGやSDGsを受け入れている海外の金融機関と競争する際、顧客や世間へのアピールとしてESGやSDGsに対して無関心ではいられないという事情もあるのではないかと思います。

好むと好まざるとにかかわらず特定の考え方を伝播させる、資本主義という仕組みには奥深いものを感じさせます。

reedonshore.hatenablog.com