岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

ニトリは外食産業で成功するのか?多角化がもたらすモチベーションの向上

家具販売のニトリが外食やアパレルへ進出するとのことです。国内の家具市場は人口減等の要因で成長余地に限界があるため、成長を求めての経営判断とのことですが、はたしてこの多角化はうまく行くのでしょうか。


外食やアパレルへ新たに投資したい投資家の視点では、それぞれの分野で専業の企業(マクドナルドやユニクロなど)がすでに存在するため、わざわざニトリを通じて投資しなくても、そうした企業へ投資すれば良いことになります。その意味では現業態の成長に限界が見え始めた時に経営者がまず取り組むべきは、事業の効率化や株主還元の拡充になります。企業オーナーが経営者である場合は自分のお金ですので何をやっても良いわけですが、ニトリはれっきとした上場企業であり、このような投資家の視点は無視すべきではないでしょう。


とはいえ優れた経営者として知られる似鳥氏のことですから、こうした視点が存在することはご存知なはず。成長余地以外にどのような背景があるのか、外野が勝手に想像してみました。
まずは収益源の分散によって収益の安定化を図ること。分散目的であればもっと良い事業分野はあったように思いますが、たしかに多角化は収益の安定化につながるでしょう(ただし新事業の収益性が既存事業より低い場合、収益そのものが低下してしまいます…)。家具は買い替え頻度が低いのに対し、外食やアパレルはそうではありませんので、売上の立ち方も違うように思います。

ただ多角化のメリットとして一般的に指摘される、シナジー効果や規模の経済性は、今回の多角化では期待しにくいように思いますが、実際はどうなのでしょうね。


そしてこうした一般的な多角化メリットに加え、従業員のモチベーション維持という要素もあるのではと思います。働き始めた頃の熱意で、同じ仕事に長期間取り組み続けることは、難しいものです。グループ内に新たな業態を加え、長期勤続社員を当該部門へ一時的に異動させることで、従業員のモチベーションの維持や促進が期待できるかもしれません。

 

新分野に進出したニトリがどのような成果をあげるのか、期待しながら注目したいと思います。