岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

コロナは低賃金労働を変えるのか

米国のファーストフードチェーンやホテル産業で、従業員の確保が難しくなっているそうです。これらの企業では経済再開による需要の増大に対応し、一時的に減らしていた雇用を増やそうとしているのですが、そうした取り組みがうまく行っていないわけです。


その背景の一つとして挙げられているのが、個人に対する給付金です。米国では複数回にわたる給付金や手厚い失業給付が支給されており、個人の貯蓄は歴史的な水準へ高まっています(実際に統計を見ると、給付金が支給される度、貯蓄金額は増加しているように見えます)。このように手元資金に余裕があるので、労働者は職場復帰を急いでいないのでは、とする考え方です。この場合、手元資金が枯渇してくれば労働者は職場へ復帰するでしょうから、人手不足はそのうちに解消されるでしょう。


問題は現在の人手不足が長期化する場合です。労働者が以前の職場に見切りをつけ、他業種へ移っている場合、見切りをつけられた業界では人件費上げたり、労働環境を改善したり、あるいは少人数で営業可能な体制へ移行することになるでしょう。


今回人手不足になっているファーストフードチェーンやホテル産業は、低賃金で労働者を雇用する傾向があったように思います。職場復帰の際にそうした業種が労働者から選ばれなくなることは、ある意味において当然かもしれません。労働者だけなく企業側も淘汰されるのが、あるべき資本主義の姿だと思います。