岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

ドイツ政府がフィンランド企業の子会社を国有化する

ドイツ政府がドイツ国内でガスを輸入する企業の出資比率を引き上げ(すでに30%出資済み)、完全国有化する記事を読みました。エネルギー価格の値上がりによって、電力やガスを消費者に販売している企業は軒並み苦しい経営を迫られており、これらの会社を救済するための措置とのことです。

ガス価格の上昇はウクライナ侵攻とそれを受けたドイツ政府の対応に起因するもので、一民間企業の努力では対応が難しく、このため政府が救済することは止む得ないと思います。ウクライナ侵攻以前か物価上昇の可能性は指摘されており、先物市場等を通じたヘッジが可能だったのではという指摘も正しいとは思いますが、とはいえ現時点でこれらの企業を破綻させても、後継会社の営業体制が整うまでの間、無用な混乱を招くだけだと思うからです。

そのようなことを考えながら記事を読み進めていくと、この企業がフィンランドの国有企業の子会社であることが紹介されており、頭が混乱しました。ドイツのような大国の公益事業を外国企業の子会社が経営しているのが不思議ですし、その企業に対してドイツ政府が大規模な出資を行っているというのも不思議です。またドイツの納税者はドイツ政府がフィンランドに多額の支払いを行うことに違和感を感じないのかとも思います。
(ドイツ政府による出資は、出資を通じて国内の公益企業に対する影響力を維持する等の思惑があるのでしょうが…)

経済安全保障の考え方では、外国の国有企業の子会社に自国の公益事業を経営させるのは危ういと考えるのが自然です。日本では公益事業に外資企業が参入し、それに日本政府が出資することは考えにくいですが、欧州圏内の結びつきは強く、それゆえ少なくともドイツ国民にはあまり違和感はないようです。

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