岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

国が企業を育成することは可能なのか?

だいぶ前のことになりますが、政府による新興企業の育成支援策が記事になっていました。記事によると米航空宇宙局(NASA)がスペースXを顧客として支援し、同社の立ち上げに貢献した事例をモデルケースにしているそうです。

小さい政府を信奉する私は、企業の育成は政府が行うべきことではなく、投資家や融資を行う金融機関が行うべきと考えています。ただ今回の事例は政府が経営に口を出すのではなく、顧客として発注することを通じて企業を支援することを想定しているようで、それであれば政府が企業を育成する余地はあるように思えます。

ただし顧客としての支援にも限界はあります。まず政府からの発注を希望する企業は無数に存在するはずで、支援する企業を選んだ基準は明らかにされるべきです。その際、企業経営者と政府の間で条件面で交渉が行われることが普通であり、支援を受けたい企業は政府に対して何らかの譲歩をするでしょう。そうした譲歩は将来的に企業経営の足かせになるような気がします。

また税金を使って特定企業に発注を行う以上、その会社は政府や国民に対して経営状況等を開示する必要が出てくるかもしれません。情報開示の水準がどの程度に収まるのかは分かりませんが、情報開示のために無用なコスト(担当者を配置する等)がかかったり、公開された情報がライバル企業を利することが出てくるかもしれません。

このように考えていくと、一見すると筋が良さそうに見える顧客として企業を支援することも、あまり現実的でない気がします。小さい政府信奉者の偏った考えにすぎませんが、政府の役割はやはり最小限にとどめるべきだと思います。

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