岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

正当化可能な物価高対策とは?

物価上昇対策が世界中で検討されており、日本でもガソリン補助金や給付金等の措置が検討されています。小さい政府を信奉する私は、こうした対策は本当に困窮している人・企業に絞られるべきで、また既存の生活保護のような制度(生活保護という仕組みに運用上の改善点があることは認識していますが)を活用することで、困窮している人に対する援助は可能と考えています。

このように考えている私ですが、この対策は確かに必要だろうと思える対策が記事で紹介されていました。エネルギー取引において、価格変動の拡大に起因した巨額の追い証が発生しており、これを政府が一時的に肩代わりすることが考えてられているそうです。追い証を払う必要があるのは主に電力・ガス会社で、記事では明確になっていませんでしたが、エネルギーのデリバティブ市場で事業運用のためのリスク管理を行っているようです。

業務上取らなければいけないポジションから発生する追い証を電力・ガス会社で負担する場合、追い証が過大になった時に電力・ガス会社はポジションを縮小するために事業を縮小せざるを得なくなります。これは電力やガスの供給を減らすことにつながるでしょうから、サービスを受ける住民は多大な影響を被ることになります。
追い証が発生するくらいならデリバティブ市場でのリスク管理など止めてしまえば良いという意見があるかもしれませんが、その場合に電力・ガス会社の事業リスクはとてつもなく大きくなります。そしてエネルギー価格が電力・ガス会社によって損が出る方向に動いた場合、会社が破綻するようなことになるかもしれません。

本来であれば電力・ガス会社が追い証負担に耐えうるだけの資本を蓄積していれば良いかもしれませんが、社会全体の資本効率を考えるとそれは効率的でないでしょう。また追い証負担に耐えきれずに電力・ガス会社が破綻した場合、業務を引き継ぐ会社が現れるのでしょうが、それまでの間に混乱の影響を受けるのは住民です。今回の追い証発生が電力・ガス会社の経営判断の誤りに起因するものでなく、リスク管理の必要性や追い証という社会の仕組みとしてどうしても発生するのであれば、それを政府が負担するのは合理的です。

追い証発生の原因であるエネルギー価格変動の拡大は(おそらく)一時的なものでしょうから、一時的な対処として追い証を政府が負担し、価格変動が落ち着いた後に返還させることになります。このくらいの負担であれば小さな政府の信奉者を含めた納税者を納得させることができるように思います。

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