岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

フィリピンのリゾート地で起きた、思ったよりも穏やかな人質事件。映画「囚われ人」

2001年にフィリピンのリゾート地で起こった人質事件を題材にした映画を見ました。こうした事件が起こっていたことをすっかり忘れていた(ニュースを通じて知ってはいたと思います)のですが、映像として事件を振り返るとそれぞれの当事者に当事者なりのエピソードがあったことが分かり、興味深く見ることができました。

なかでも面白かったのが、人質が少しずつ犯人側に協力するようになるところです。これは救出作戦の出来が悪く、強引な救出作戦によって人質が殺されかねなかったことが背景にあるようです。ただ、子供を持つ登場人物(人質)と犯人側の一人である少年との交流や、犯人側の一人と恋仲になる人質が描かれており、ストックホルム症候群のお手本のようなエピソードが紹介されています。
もちろん犯人側の残忍な面もしっかりと描かれているのですが、犯人側は私が思っていたよりも穏やかでした。そうしたところも人質が犯人側に協力的になった一因だと思われます。

また犯人側であるテロリスト集団がフィリピンの地域社会の一部で受け入れられていたことも興味深い点でした。テロリスト集団と言えども地元の支持が皆無では組織として存続できないわけです。このあたりはアフガニスタンタリバンが存続していた背景に通じるところがあるように思います。

思ったよりも穏やかな犯人が出てくる、フィリピンの美しい自然を背景に撮られた映画です。人質事件というと残虐シーンが出てくるような映画を想像されると思いますが、良い意味で裏切られた映画でした。
(ちなみに私は人質側の心理を丹念に描いた映画だと思って、見始めました)

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