岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

規制業種の大企業によるベンチャー投資、代理人による規制への挑戦

規制業種の大企業は規制に関して失敗することはできません。仮に規制に反していると判定された場合、規制当局からこってりと絞られます。

このためベンチャーキャピタル(以下、VC)投資を通じて、自身の業界に課された規制を、VC出資先の企業を通じて挑戦させているのではないか、と分析するブログ記事を読みました。その記事によると大企業の目線では同業種に対するVC投資は以下のように捉えることができるそうです。

ベンチャー企業が規制に挑戦して失敗してもダメでもともと。傷は浅い
・仮にうまく行けば自身がそのアイデアに追随して(VC出資先が見つけた規制の隙間を活用して)莫大な利益を上げることができる
・追随が無理でもVC投資の果実は享受できる

メガバンクはグループ内でVC投資を行う組織を立ち上げ、金融業界を含めた様々な分野に投資していますが、これまで潜在的にライバルとなりうる同業に投資するのか疑問でしたが、この記事で解決しました。

決済分野で規制のギリギリをついている面白い企業があり、その企業の出資先を調べた際に銀行系のVCファンドがあって意外に思っていたのですが、なるほど上記のような側面もありそうです。
(ちなみにその企業はたくさんのVCファンドが出資しており、もはや銀行系VCファンドの一存だけで出資先を動かすことは難しそうでした)

一般的に事業会社がVC投資を行う場合、投資果実の享受に加え、通常は本業とのシナジー効果を狙っているとされます。

メガバンクがグループ内で行うVC投資は、シナジー効果というよりは、VC投資に関するノウハウの蓄積という意図があるのだろうな、と思っていましたが、規制に挑戦させる意図という着眼点はとても新鮮でした。実際のところどうなのかは分かりませんけどね。