岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

少女はどこへ行った?映画「青いパパイヤの香り」

しっとりとした余韻の残る良い映画でした。1950年代のベトナムを舞台にした作品で、ベトナムらしさを感じさせる映像が満載です(なのですがこの映画、フランスのセットで撮影されたそうです!)。トラン・アン・ユン監督にとっては本作が長編映画のデビュー作だったようで、デビュー作にしてこれだけの映画を作れるというのは凄いことですね。

ひとしきり映画の雰囲気に浸った後、ふと「この主人公はベトナム戦争(1955-1975年)をどう切り抜けたのだろう」と思いました。主人公の少女はベトナム戦争の最中に、いかにも迫害を受けそうな立場になる(ネタバレを防ぐため詳細は伏せます)のですが、その後はどうなってしまうのだろう?というわけです。

そんなことを思いながらこの監督の他の作品を知るため、その経歴を調べていたら、ひょっとしたら…と思うことがありました。この監督は戦争の影響を避けるため、12歳の頃に両親と共にベトナムからフランスに移住したということです。1962年生まれなので1974年に移住したわけで、まさに戦争末期です。これは勝手な推測ですが、この映画は監督のお母さんの体験を描いた作品なのだとすると、主人公の少女はフランスに渡り、(息子が国際的な映画監督になるくらいですから)その後幸せな人生を歩んだのかもしれません。

かなり脱線した妄想を書きましたが、しっとりとした良い映画です。機会がありましたらぜひお楽しみください。

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