岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

90年代の老人は国債の利息を楽しめていた。映画「紙の月」

90年代なかばの銀行を舞台にした映画です。行員が顧客の預金を着服していた事件を元にした話なのですが、その映画を見て現在との違いが面白かったです。

まず主人公が顧客に国債を勧めるシーン、「国債の利息を(趣味等の)楽しみに使ってみては?」と提案します。調べてみると当時の利息は10年国債で3−4%ありましたので、それなりに「楽しむ」ことができそうです。今の金利はほぼゼロ(0.02%)、これでは提案にも苦労しそうです。
提案といえばそもそもこの頃は個人預金の獲得が行員のノルマとなっていたようです。現在の銀行は貸出先を見つけるのに四苦八苦していますから、これも現在ではありえないですね。今は投資信託や保険を販売し、手数料を稼ぐのがノルマになっていると聞きます。

さらに驚いたのが行員が現金を顧客の自宅で預かったり、引き下ろした預金を顧客の自宅に届けていたこと。これは不正のきっかけになりやすそうだな、と思いました。富裕層に限定したサービスであったことは理解していますが、現在ではどうしているんでしょうね。コンプライアンスに厳しい昨今ですので、さすがに現金のやり取りは窓口やATMを介することがルール化されているような気がします。

と細かい点が気になってしまいましたが、着服という犯罪に走ってしまった主人公の心理をうまく描いた映画であるように思います。とても楽しめました。