岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

6%台のインフレ率で1%台の金利、これはなぜ?

米国では6%台のインフレ率を記録しているにも関わらず、1%台の国債利回り(10年国債で1.5%前後)が続いています。10年国債を購入すると1%台の利息を得ることができますが、同時に購買力は6%程度毀損するわけで、差し引きで5%近く損してしまうわけです。来年以降の利上げ等を見越して金利先高感が広がっているとはいえ、この水準には違和感を感じており、低金利が維持されている背景について考えてみました。

f:id:reedonshore:20211219124212p:plain

まず最有力な考え方は6%台のインフレ率は一時的というものです。「一時的」という言葉はFRBは使わないようになっており、インフレ率の高まりが懸念されているものの、それでも6%台のインフレ率が永続すると考える人は少数です。実際にFOMCの出席者による予想(したがって立場上高インフレを予想するわけにはいきませんが…)では、最終的に2%台に落ち着くことが見込まれています。
国債市場はインフレ見通しを正しく反映していると考えるのであれば、国債市場は今後も低インフレの時代が続くことを予想しているわけです。低インフレが続くことの背景として米国の高齢化による生産性の低下が指摘されることもあり、この辺りは日本の低金利・低インフレがいつまでも続いていることと関係があるのかもしれません。

この他に要因として考えられるのが、国債市場の需給関係です。米国でもコロナの影響で大量の資金が金融機関を通じて国債市場に流れ込んでいるようで、この資金流入国債利回りを抑えていることが考えられます。この他に年金や米国外の投資家による買い需要も要因として指摘されています。
理屈で考えるとおかしいことの背景には需給要因があることが多く、こうした要因も確かにあるように思います。特に米国外の投資家、例えば日本や欧州の投資家はゼロ金利に苦しめられており、名目的とは言え金利が得られる米国市場に資金が流れ込むのはよく理解できます。

今回挙げた2つの説明はいずれも正しそうで、両要因が作用して異例とも言える低金利が実現しているのだと思っています。そして需給要因は当面大きく変わらないでしょうが、将来のインフレ見通しは上方修正が入ってもおかしくない(少なくとも下方修正は考えにくい)ように思います。
このように考えると今後の米国金利は上昇方向を予想しておいた方が良さそうです。そして現在は金融市場で金利の動きが注視されているため、金利上昇は株式等のリスク性資産の価格にマイナスの影響を及ぼすと思っています。そうはいっても経済そのものは好調ですので、リスク性資産は継続保有が基本だと思いますが。

reedonshore.hatenablog.com