岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

ロシアをデフォルトに追い込む西側諸国。既発債の投資家を痛めつけても仕方ないのでは?

米国はロシア政府が米国の金融機関で保有しているドル資産からの国債利払いを認めず、このためロシア国債がデフォルト(債務不履行)となる可能性が高まっているそうです。私はウクライナ侵攻を受けたロシアに対する経済制裁は当然であり、しっかり取り組むべきと考えていますが、このような形でロシア国債をデフォルトさせることにどれだけの意義があるのか、疑問に思っています。

今回デフォルトの可能性が高まっているロシア国債は米ドル建て国債で、その保有者の大半はロシア国外の投資家と思われます。このためロシア国債をデフォルトさせることはロシア国外の投資家へ痛みを与えるだけで、ロシア政府から見ると大した影響を及ぼすわけでないように思います。

これまでもロシア政府の海外資産は凍結されていて自由に使えなかったわけで、凍結された資金がロシア国外の投資家への利払いに使えなくなったところで、ロシア政府に大した影響はありません。国債をデフォルトさせることでロシア政府の信用を落とすことも考えられますが、今回のデフォルトは制裁によるものであり、ロシア政府に利払い能力と利払いへの意欲があったことは明らか、ロシア政府の信用を落とすことにもつながらない(正確にはウクライナ侵攻により、国際社会からの信用は十二分に失墜していますが…)と思います。

ロシア国債をデフォルトに追い込むことでロシア政府の負債調達能力を削減することができるというのが、米国政府の理屈なのだと思いますが、それであれば米国の金融機関がロシア政府の債券発行に協力するのを禁ずれば良いはずです。また現在の情勢下で西側の投資家がロシアの新発債に新たに投資するとも思えず、既発債の投資家を痛めつけるような施策はあまり意味がないように思っています。

※私はロシア株ETFに投資しており、このため本記事はポジショントークの可能性があることにご留意ください

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