岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

「円に対する信頼は失われていない」と黒田総裁。それはそうでしょうが…

円安の勢いが止まりません。2月末時点で115円近辺だったドル円レートは、現在122円まで円安が進行しています。この円安を円に対する信頼が失われた証ではないかとの国会での質問に対し、黒田総裁は否定していました。

先日記事にしたように足元の円安進行の背景には、米国の金利上昇によって米国への資金移動が起こったこと、主に資源価格の上昇により貿易を通じた外貨実需が高まったことが挙げられると思われます。このため現時点で円に対する信頼が失われたと解釈するのは、たしかに気が早い気がします。ただし現在の財政・金融政策を継続していくと、円に対する信頼維持もいつか限界に達するように思っています。

現在政府はコロナ対策やウクライナ情勢を受けた追加経済対策を検討していると言われ、また日銀は緩和策の継続を基本路線としています(強化を主張する委員もいるそうです)。現在世界的な金利上昇の影響を受けて日本国債の利回りがとても小幅ながら上昇し、また物価も上昇の兆しを見せる中、これまでの政策を本当に継続できるのか疑問に思っています。
現在の経済政策の優先課題はデフレであり、物価上昇が起こってから政策転換を心配すれば良いという考え方にも一理あるのかもしれませんが、米国で物価上昇の抑制に苦労している様子を見ると、実際に日本で物価上昇が確認された後、本当に政策転換で物価上昇に対処できるのか、不安になります。

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セントルイス連銀のデータベースより

 

政策転換と書きましたが、かりに物価が上昇しても政策転換が行われるとも限りません。現在の物価上昇はエネルギー価格を含んだ輸入物価の上昇を背景にしており、需要拡大や賃金上昇を背景とした「良い物価上昇」ではないとする考え方も日銀首脳から出てきているようです。こうした考え方が日銀内で広がっているのであれば、物価上昇が確認されても緩和政策は継続されるのかもしれません。そもそも日銀が想定しているような「良い物価上昇」が本当に起こるのかは疑問ですが、現在の金融政策が継続されると市場に供給される円は増え続けることになり、円安はさらに進むでしょう。

私自身は最悪の事態であるハイパーインフレに陥る前に何らかの政策転換が行われると思っていますが、それまでに相当な円安が進むはずです。私は今回の株安局面で手元のドルを株式に換えてしまったため、手元の現金は日本円ばかりです。円安がさらに進んだ時点で政府・日銀による口先介入があるように期待しており、口先介入によって一時的な円高になるでしょうから、そのタイミングで円をドルに換えたいと思っています。

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