再び125円台に進んだ為替市場に対し、鈴木財務大臣が「緊張感を持って注視する」と発言し、この発言を受けて為替市場が少しだけ円高に振れました。ただ今回の口先介入が効いたのは一時的で、現在では発言前の水準に戻っています。
本ブログでなんどか話題にしているように、今回の円安の要因は日米金利差の拡大と資源価格上昇による外貨需要を反映したものと考えています。資源価格の動向についてはともかく(景気減速による需要減少が意識され始めましたね)として、日米金利差が生み出すドルへの換金需要は強いように思っており、そうであれば今後も円安傾向は続くのかもしれません。
急激な円安を防ぐための介入は外貨を売ってドルを売る行動であり、具体的には政府と日銀が保有する外貨準備を売却することになります。外貨準備は巨額(2022年3月末時点で1兆3500億ドルでした)とはいえ限りがあることから、円安対応の介入は効き目が見込める時を見計らって介入する等の慎重な姿勢が求められます。このため今回の円安への対応で、まずは口先介入を行う方針は現実的と考えていましたが、前回125円に到達した際の黒田総裁の発言に続いた今回の鈴木財務大臣の発言には目新しさがなかったようです。口先介入の効果は薄れてきているのかもしれません。
次なる一手としては発言内容を強調し「容認できない」といった表現を選ぶことになるのだと思いますが、それでも円安が止まらない時、実際に介入が行われるのでしょう。先日記事にしたように私はドルへの換金タイミングを逸してしまっているため、口先介入とその後の実弾介入を見据えながら、ドルへ換金することになりそうです。
私にとって都合の良い展開は、じわじわと円安が進んだ後に表現の強調や最終的な介入を行うのではなく、現時点でそうした手段をとってもらい、早く円高を演出してもらうことです。例えば130円まで円安が進んだ後に125円まで戻るよりも、現段階で120円くらいまで戻してもらい、そのタイミングでドルに換金したいという虫の良い話です。当局者は今後のことを考える必要があるわけで、円安阻止の次の一手は当分先なのが通常であることは理解していますが、そんなことを考えながら為替市場を眺めていきます。