岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

日銀の量的緩和策を続けつつ円安を抑えることができるのか?

日銀はインフレ率を安定的に2%程度で推移させることを目標に量的緩和策を行っています。
以前から資源価格の上昇を受けてインフレ圧力が高まっていたわけですが、ウクライナ侵攻を受けてその圧力はさらに高まっています。これに加えて4月には携帯電話料金の引き下げという物価を押し下げる特殊要因が剥落するようで、これは統計上の問題ですが物価はさらに上昇することが見込まれます。

f:id:reedonshore:20220317192647p:plain

セントルイス連銀のデータベースより

 

このような情勢を受け、日銀の量的緩和の目標である2%の物価上昇が達成されるのではないかとする記事が出ていました。ただ日銀としては目標が達成されたとしても、エネルギー価格の上昇を背景にした物価上昇は持続的ではないとの立場のようで、量的緩和策の終了は念頭においていないとしています。
エネルギー価格の上昇を一時的な現象と解釈する理屈はたしかに成り立つと思われ、日銀が量的緩和策を継続したい気持ちは理解できます。現時点で量的緩和を終了して金利が上昇した場合、日銀の保有する債券は含み損の状態になりますし、また同様に債券を保有する銀行等への影響も無視できないからです。
(ただ最近は日銀自身や銀行等以外に、どれだけの主体が量的緩和を希望しているのか、疑問に思うことがあります)

とはいえ量的緩和政策を続けて金利を低く抑え続けると、内外金利差の関係で資金が海外に流出し、これも最近顕著になっている円安傾向がさらに強まることも予想されます。
その場合は輸入物価の上昇を通じて物価はさらに上昇するでしょうから、物価の番人を自認する日銀にとっては困った事態です。日銀は量的緩和を続けつつ行き過ぎた円安は防がないといけないという、難易度の高い課題に取り組む必要に迫られているわけです。

f:id:reedonshore:20220317192837p:plain

セントルイス連銀のデータベースより

 

私は米国ETFを通じて投資をしており、そのために円をいったんドルに換金する必要があります。株式の変動に比べると為替の変動は小さいことから、あまり本質的なことではないと分かっているものの、ドルに換金する際に円安が進んでいると躊躇してしまいます。このため円安が進んだところで口先だけでも良いので市場に介入していただき、一時的な円高を演出してくれないかと思っているのですが、そううまくは行かないでしょうね…

reedonshore.hatenablog.com