岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

クラシック音楽愛好家の性格、映画「グリーンブック」

映画館で見たかった映画でしたが、上映期間を逃してしまっていた映画です。今回アマゾンプライムビデオで楽しめるようになっていたので、さっそく見てみましたが、期待に違わぬ良い映画でした。

ピアニストが良い味を出しています。クラシックとジャズを合わせたような曲を演奏しているのですが、元々はクラシックのピアニストを目指していた設定になっており、クラシック音楽に対する(やや屈折した)憧れを抱いている役柄です。
その演奏は格調高さと親しみやすさを兼ね備えた素晴らしいもので、主人公の運転手も「オリジナルで凡百のクラシック演奏よりも良い」と褒めるのですが、それでも自身の認識(自分の演奏よりもクラシック音楽の方が上と思っている)を変えないところも話としてよく出来ています。門外漢に褒められてホイホイと本気になっているようではプロとして失格ですし、そんな予定調和的な話では面白くないですからね。

またこのピアニストはアメリカ人によくあるフランクさのなく、また礼儀作法を重視する人物として描かれています。自身を上流社会に押し上げる手段として、フォーマルさを重視している設定なのかもしれませんが、そもそもクラシック音楽愛好家の世界にはどこかそういうところがあるように思います。
フランクさはともかくとして、クラシック音楽の世界は礼儀作法というかマナーを重視するところがあります。ただこれは考えてみると当然で、例えばホールに集まって音楽に集中しようとする時に、音をたてるとかマナー違反の人がいてはいけません。ただ私が知る限り、最低限のマナーさえ守っていればフランクさ(服装等)についてはそれほどうるさいことを言われないように思います。

少し脱線しましたが、クラシックを愛する音楽家という設定とピアニストの性格を違和感なく合わせたところ、そしてピアニストと運転手が打ち解けたことを示すためにこの設定をうまく取り入れているところなど、脚本の良さが光る映画でした。機会があれば皆様もぜひお楽しみください。