岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

雇用統計の結果を受けたこれまでと違う市場の反応

昨日の米国雇用統計の結果は雇用者数は増加するものの、失業率は上昇する、強弱入り混じった結果になりました。全体的に雇用市場の過熱感を感じさせる内容で、FRBに引き締め強化を促す内容と解釈されたようなのですが、それを受けた市場の反応はちぐはぐなものでした。

FRBの利上げを嫌気して株式や債券が下落し、ドルが上がるという今年の市場で見られた動き方とは異なる動きをしたということです。
債券市場は長期金利が上昇しました。これは今年の市場の動き方に沿った反応です。ただ短期金利は低下しました。これはFRBに引き締め強化を促す(短期金利は上昇する)という市場の解釈とは逆の動き方です。おそらく前日までにFRBの引き締めを市場が過剰に織り込んでいたのが、修正されたということなのでしょう。
株式市場は上昇しました。これも今年の動き方とは逆の動きです。今週の株価はかなり急速に下落していたため、その修正と捉えることができると思います。発表された雇用統計から、株式市場が想定していたほどの過熱感を感じることはできなかったということでしょうか。
最後に為替市場は円高で反応しました。これも金融引き締めが日米金利差の拡大につながり、ドル高となる今年の動きに反しています。こちらも為替市場は過剰な金融引き締めを織り込んでいたということなのでしょうか。

このように振り返ると市場は、金融引き締めをやや過剰に織り込んでいたようです。今回の市場の反応を例にあげるまでもなく、市場がその時時の投資テーマをどの程度織り込んでいるのかを推定することは困難です。このため「政策金利は5%超が最終的な上限となるようだ」といった程度の大まかな感覚を把握し、時折その感覚と市場の値動きを評価することが大事だと思っています。
(例えば「政策金利が5%超になるのであれば、長短金利差の逆転が強まらない限り長期金利は5%程度になるはずであり、それに上乗せ金利が加わってクレジット債の利回りが決まるはず」といった具合です)

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