岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

エコノミストが定義するハイパーインフレと自分が心配するハイパーインフレの定義は異なる

円安・ドル高の勢いが止まりません。週初に140円台だったドル円レートは本日144円台まで円安が進んでいます。私は日本経済に対して長期的に悲観的であり、このため資産の大半を外貨建にしています。そんな私がハイパーインフレはまず起こらないとした記事を読んで思ったことを記録しておきます。

証券会社所属のエコノミストが書いたこの記事は、通貨の裏付けは国の信用力にあるとして、ハイパーインフレはまず起こらないと結論づけています。日本が債権国であり、政府は大赤字であるものの家計と企業は黒字で多額の資産を抱えていることを、その根拠にしています。政府の赤字は家計と企業の黒字によって資金繰り可能というわけですが、国には徴税権がありますから、たしかに家計と企業に潤沢な資産がある限り、日本の信用力は高いままでしょう。

その上で記事は家計と企業が危うくなるシナリオとして、少子高齢化による預金の減少(国債の買い手不足)、税収減、社会保険料の担い手不足を指摘します。このシナリオが現実化した場合、国は破綻状態になっているとして、戦争・日本沈没級の天災・究極の高齢化社会のようなことが起こらないとハイパーインフレは起こらない、つまりハイパーインフレはまず起こらないとしています。

私は記事で指摘している少子高齢化は、国家が破綻するほどでないにせよ、避けられない傾向だと考えています。ただし一部で言われているように日本が消滅することはなく、人口ピラミッドが凹凸がほどんどない、全体的に細長い形に落ち着くと考えています(これは私独自の考え方でなく、平均的な見方だと思います)。そしてハイパーインフレを引き起こす要因として「日本沈没級の天災」としているところを見ると、このエコノミストが定義するハイパーインフレは例えば1ドル=1万円のような事態であるように思いました。

ハイパーインフレについて調べたところ、「毎月50%の物価上昇=年率で約130倍」「3年で累計100%以上の物価上昇」といった定義があることを知りました。2つの定義は全く異なります。後者はそれなりに発生しうると思いますが、前者が起こる確率はたしかに低いと思います。そしてこの日本沈没級の天災を例示したこのエコノミストは、前者を想定しているように思います。

私が心配しているハイパーインフレは1ドル=500円くらいになるもので、先ほどの2つの定義にあてはめると後者(為替レートが物価を規定するわけではありませんが)になります。1ドル500円になると例えば海外に行くことは相当困難になり、日本の様々な資産が安く買われることになると思います。そして現在の財政状況や人口動態等を考えると、日本消滅が現実化するとは思いませんが、日本の将来に悲観的になってしまいます。そうした事態に備えるために、外貨建資産を保有しています。

ハイパーインフレに関する記事を読む際は、筆者がどの程度の事態を想定しているのかを念頭に置いた方が良いと思いました。

reedonshore.hatenablog.com

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