岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

SPACの合併が成立できなくなる。流行の終わり

SPAC(特別買収目的会社)の流行が終わり新規の資金集めは既に難しくなっている中、既に資金集めが終わったSPACの合併取引が延期になる例が相次いでいるようです。

SPACという仕組みは粗製乱造との批判を受け、すっかり人気がなくなっていたと認識していましたが、とはいえ一度組成された(つまり資金調達に成功した)SPACであれば、その後に合併を実行して関係者は利益を得るものと思っていました。私の理解では合併が成立しないとSPACは資金を投資家に返還して終了、合併を完了させるとSPAC関係者は取引手数料等の追加の収入が得られるはずです。こうした場合、SPAC関係者は「後は野となれ山となれ」で質の悪い案件であっても、自らの実入りを増やすために合併を成立させるために全力を尽くすものと理解しています(うがった見方かもしれません)。

SPACという仕組みには投資家が合併案件に対して賛否を表明する機会が与えられます。投資家が質が悪いと判断した案件であれば、その際に反対票を投じたり(反対が過半数を超えないと合併は非成立になりません)、合併が成立する前に持ち分を売却すれば良いことになります。ただしこれまでは合併話が持ち上がった際、無事に合併が成立することが圧倒的に多かったと認識しています。質の低い案件はおそらくあったのでしょうが、賛否の投票や合併成立前の売却が合併の妨げになることはほぼなかったということだと思います。

案件を成立させたいSPAC関係者をもってしても、合併が不成立になってしまう市場環境。SPACという流行は一旦終わってしまったと見るのが適当なようです。そしてこのことは現在の資本市場を取り巻く雰囲気をうまく表しているように思います。

※日本でもSPACの仕組みを取り入れる気運が高まっていましたが、最近の日本取引所の発表を見ると、その話は立ち消えになったようです

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