岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

米国は景気後退局面入りしたのか?

米国GDPが速報値で2四半期連続のマイナスとなり、景気後退局面に入ったのではないかとする意見が出ているようです。

米国では秋に中間選挙を控えていますので、民主党政権の失政をアピールしたい共和党としては、これを景気後退局面入りの証としたいのでしょう。ただ私は失業率の低さ等を考慮すると、2四半期連続のマイナス成長のみをもって景気後退局面入りと判定するのは難しいように思います。米国では景気後退入りの判定は全米経済研究所が行っており、この判定はだいぶ後のことになりますが、彼らがどのような判定をくだすのかには注目です。

このように現時点で景気後退局面入りと判定するのは難しいと思いますが、将来景気後退に入ったと判定された場合、それはどのような景気後退として歴史に刻まれるのでしょうか?以下は米国株式の1970年代からの推移で、灰色がかっている箇所は景気後退局面を示しています。

セントルイス連銀のデータベースより

 

現在が景気後退局面入りと判定された場合、景気後退は今年の年初から始まったと判定されるような気がします。今年の年初に何が起こっていたのかと言うと、高まり始めていた物価上昇に対してFRBが手をこまねいていた(FRBが利上げに転じたのは3月からです)わけです。このように考えると、もし現在が景気後退局面と判定された場合、景気後退の理由として物価上昇の放置ないしは景気加熱の抑制が遅れたことを挙げることは理にかなっているように思います。

問題は景気後退入りの判定を現時点で行うのことが極めて難しいことです。選挙の争点とするために判定を急ぎたい共和党の事情は分かりますし、重要な問題提起ではあると思いますが、景気後退局面入りよりも物価上昇の問題で現政権を批判した方が、選挙対策として有効のように思います。

reedonshore.hatenablog.com