岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

いずれの国の政治家も緊縮財政は苦手

物価上昇が起こった際の教科書的な対応は、金融政策では引き締め、財政政策は緊縮財政とされています。歴史的な物価上昇を記録している米国では定石通り、金融政策では引き締めを行っています。ただし財政においては増税と支出増を組み合わせた経済対策のうち、増税部分について反対意見が出ているようで、支出増が目立つばらまき型の経済対策になるようです。

こうした政治の動きに対し、経済の専門家は懸念する声を挙げています。国際通貨基金(IMF)の幹部が「政府による経済支援は的を絞ったものにすべき。ばらまき型の経済支援は中央銀行によるインフレ対策の効果を台無しにする」といった意見を表明しています。また米国では財務長官を務めたサマーズ氏が追加支出なしの純粋な増税を行うよう、意見を発信しています。

こうした教科書的な対策は政治家も百も承知なのでしょうが、選挙民からの支持を考慮すると緊縮政策は採用しにくいのでしょう。特に米国では中間選挙はすぐそこですから、選挙対策という観点がより重視されるものと思われます。

ひるがえって日本では、金融政策では異次元緩和を継続することが決まり、財政政策では大型の経済対策が予定されているそうです。物価上昇幅が海外に比べて小さいとはいえ、物価上昇と同時に賃金も上昇していると言われる海外と賃金が上昇しない(また将来的に上昇することが期待しにくい)日本では、海外並みの物価上昇が発生するとその影響は甚大になるはずです。米国では物価上昇の予想を誤って現在の高インフレを招いてしまったわけですが、日本で同様のことが起こらないか、とても心配です。米国の事例から学べるように、物価は上昇し始めるとその勢いを管理するのが難しいようですので。

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