岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

ロシア産原油の輸入がゼロになったのは、日本企業の自主的な判断によるものだった?

ロシアへの経済制裁に関連し、エネルギーの輸出入はなにかと話題になっています。つい先日もバイデン大統領がサウジアラビアに増産を依頼するために直々に同地を訪問したり(どうも断られた模様です)、ロシア産原油価格に上限を設定しようとしたらインドが抜け道を設定した疑惑(ロシアから輸入した原油をインドで精製し、輸出しているのだとか)が報道されたり、話題に事欠きません。

そんな中、日本の経産相が6月の貿易統計でロシア産石油の輸入がゼロになったことについて「政府として呼びかけたわけではなく、各企業の自主的な判断に基づくもの」という見解を示しました。記事ではこの他に「制裁の効果は日本だけでなく、世界全体で見る必要がある」「すべての国が制裁に参加しているわけではなく、直ちにロシアに対する圧力になっているかは分からない」といった発言の要旨が伝えられています。

私はこの記事を読んで、日本企業がロシアからの石油輸入を全廃したことにまず驚きました。当初は勢いづいていた経済制裁への気運はだいぶ下がったように思っており、そんな中で各社は輸入を継続していると思っていました。石油を海外から直接輸入する企業はかなりの大企業でしょうから、そうした世間の潮目の変化は感じつつも、輸入を継続した時の世間からの批判を警戒し、苦渋の選択として対応したのでしょう(中小企業の場合、企業体力の観点からこのような対応が難しいこともあろうかと思います)。それにしても短期間でロシアの代わりとなる取引先を見つけて新規契約を結ぶのは、価格面も含めて相当大変だったと思われます。

そうした企業側の努力に対し、今回の経産相の発言は少し気遣いが足らないように思いました。発言内容はすべてその通りなのですが、これでは日本企業がロシアからの石油輸入を再開しても大勢に影響を及ぼさないように読めてしまいます。相当のコスト増を許容し、無理して契約を結んだ企業に対し、ねぎらいの言葉があっても良かったのではないでしょうか。

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