岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

ヒースロー空港の人手不足に見る雇用慣行の違い

英国のヒースロー空港が人手不足で急増する利用者に対処できず、同空港を利用する航空会社に航空券の発券停止を要請したそうです。

記事によると空港の利用者数はコロナ前を下回っているものの、空港職員が不足しているそうです。コロナ禍において職員を減らした反動が、こうした形で出ているのでしょう。日本では航空会社の職員が他社に出向し、雇用は維持していたように記憶していますが、英国では空港利用者の減少は職員減に直結するのでしょう。

このような日英空港の対応の違いは両国の雇用慣行に起因しているのだと思います。終身雇用という習慣の下で人員削減が困難な日本は、業務量の増減によって人員を増減させることが困難で、このため出向のような手段を使って雇用を維持しようとしたわけです。その結果、今回のように業務量が増えた時に出向させていた職員を元の職場に戻して対応すること(現在も制限をかけているので日本の空港の業務量は増えていないと思いますが…)も容易になるのだと思います。

一方で業務量の増減によって人員を調整できないことはさまざまな歪みにつながります。雇用の調整ができないことは効率的な企業運営の妨げになりますし、また雇用の調整で使われる側面の強い非正規雇用のように、本来であればもっと報われるべき人が報われない問題も出てきます。今回のヒースロー空港は海外の雇用慣行の負の側面が出た例と言えますが、同空港も手をこまねいているわけではなく、新規職員の採用を急いでいるようです。新たな職員が業務をこなせるようになるまでどのくらいの時間を要するのか分かりませんが、今回の混乱もそのうちに元に戻るのでしょう。

多少の混乱を許容して効率的な運営を目指す海外型と安定を重視した日本型、どちらが良いのかは意見が分かれるのでしょうが、私は日本型には限界が見え隠れしているように思っています。

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