岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

これは妙手な気がする。日本製鐵による炭鉱への投資

石炭の価格が上昇する中、大口需要家である日本製鐵が自ら炭鉱への投資を検討しているという記事を読みました。炭鉱に投資することで石炭の安定確保が可能になると考え、化石燃料事業から撤退を図る資源大手から権益を買い取ることを検討しているようです。

石炭の安定確保という目標は炭鉱への投資によってたしかに達成されそうですし、また石炭の権益を売却したい資源大手の事情を考えると有利な価格で権益を買えそうで、とても良い発想だと思います。
(逆に言うと資源大手の立場では化石燃料事業からの撤退は焦らず、時間をかけて行った方が良いということでしょう)

日本製鐵自身の環境負荷への目標はどうなっているかと言うと、2050年の脱炭素化という目標に向けて技術開発に取り組んでいるとのことです。この約30年後という目標設定も絶妙です。30年あれば今回の投資の元は取れるように思いますし、また30年後の環境に対する世の中の問題意識が現在と同様とは限りません。

このように考えると日本製鐵と同じような動きが他社で起こってもおかしくありません。ただし炭鉱への投資の成否は石炭価格次第であり、もともと業績が鉄鋼価格に左右される製鉄会社が、炭鉱への投資によってさらに市況次第になることを危惧する考え方もありうると思います。日本製鐵の検討が実を結ぶのか、また同じような検討が他社に広がるのか、今後の製鉄業界の動きに注目です。

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