岸辺の日記

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バイデン大統領が華麗な掌返しを決める。「インフレ対策はFRBの責任」

バイデン大統領がパウエルFRB議長と面談し、「FRBの独立性を尊重する」旨を伝えました。この面談に先立つ新聞への寄稿で大統領は「連邦準備制度にはインフレを制御する一義的な責務がある」とし、またこの面談の冒頭で自身の役割として「(FRBが)責務を果たすために必要な余地を与える」と発言しています。うがった見方になりますが、インフレはFRBの責任であることをそれとなく伝えた形になります。これらの発言を受けてFRBは引き締めにより積極的になるのではとの観測が働き、為替は円安に反応しています。

11月に中間選挙を控えるバイデン大統領としては、選挙民の関心が高い分野であるインフレに対する自身の責任は少ないとして、選挙を乗り切ろうとする心づもりがあるのでしょう。前任のトランプ氏も含め、大統領はFRBによるかってない規模の緩和策を支持していただけに、今回の掌返しの鮮やかさが際立ちますが、ただしFRBの使命に物価の安定が含まれていることは確かなことです。

ワシントン政治をよく知るパウエル議長は今回の掌返しをある程度予期していたでしょうが、今回の発言を受け、今後はワシントンに遠慮せずに金融引き締めを積極化するような気がします。これまでは引き締めペースを緩める要因として「雇用の最大化を考慮する」「金融システムの安定を重視する」という方便がありえたわけですが、それらよりもインフレ抑制を優先して欲しいという要望(大統領の意思ですが、国民の意思と読み替えることも可能でしょう)が明らかになったためです。

これらを受けて円安に反応した為替市場の反応は素直な反応だと思います。円安がどこまで進むのか、また株式やクレジット市場にどのような影響が見られるのか、注目していきたいと思います。

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