イーロン・マスク氏によるツイッター社の買収提案が合意に結びついたようです。ツイッター社の取締役会は全会一致でマスク氏の買収案を承認したとのことで、先日記事にしたような買収防衛策の話はより良い条件を引き出すためのポーズだったようです。
私は多くの買収防衛策は現経営陣の保身のために導入される側面が強いと考えており、今回のツイッター社の買収防衛策にも否定的でした。買収防衛策によって買収提案を否定する以上、提案を上回る企業価値をなるべく早期に実現して欲しいというのが、多くの株主の意向であるはずです。そして株主の意向を実現するために経営を監督する取締役会は、企業価値の増大という株主の意向をくみとって判断を下すべきだと考えています。
今回のように最終的にマスク氏の提案を受けることを想定しながらも、買収防衛策の導入を餌にしてより良い条件の買収提案を促すことは、取締役会の行動としては正しい行動であったように思われます。より良い提案を促す最大限の努力をし、より良い提案がないことを確認した上でマスク氏の提案を受け入れた方がより多くの株主の賛同を得られるはずだからです。
結果を見ると買収防衛策の検討も取締役会が自身の役割を果たそうとした結果であるわけで、マスク氏と取締役会の両者が全力を尽くしあったという爽やかさと共に今回の買収劇が一件落着となりました。
