先週の決算で利益と会員数の減少を発表したネットフリックスに今年の1月から投資していた著名投資家が、先週の決算を受けてそのポジションを解消したことが記事になっていました。推定される損失額は500億円超とのことで、決して小さい損失ではありません。
この投資家は投資家向けの書簡でこの売却について「当初の想定と異なる事態が起こっていて、その場合は早く撤退した方が良いことを過去の経験から学んだため」としています。「当初の想定と異なる事態」とは会員数の減少のようです。
私の投資姿勢は一度投資した資産は保有し続けるというプロの投資家から見ると怠惰なものですが、最近のロシア株の投資は半年から1年程度で売却することを念頭においた、私にしては珍しいものです。この投資で「当初の想定と異なる事態」が起こっていないか、振り返ってみました。
ロシア株投資の着眼点はウクライナ侵攻を受けて発生するであろうパニック売りによって大幅下落した株式を購入するというものです。ロシア株にはエネルギー企業が多いため、資源価格上昇の追い風を受けている企業に安値で投資できる好機と映った面もありました。
このように考えてウクライナ侵攻のその日にロシア株に投資したわけですが、その後に起こった想定外の事態として、①ロシア軍が想定よりも苦戦した②当初想定よりも厳しい経済制裁③西側諸国でのロシア株の売買が停止された、があると思います。
①はロシア軍は数日で戦争が集結するだろうと思っていたところ、2ヶ月経っても終了の兆しが見えません。ただこのことが投資の前提(投資家のパニック売りとエネルギー企業への投資)を崩すものではなく、①を理由にロシア株を売却する必要はなかったと思います。
②は経済制裁によってエネルギー輸出が停止される可能性が出てきたことから、その兆しが出てきた時点、具体的にはSWIFTからの排除の話が出てきた後にロシア株を売却する選択肢があったかもしれません。ただエネルギーに対する制裁は現時点でははっきりしていないところがあり、この時点でエネルギー企業への投資に見切りをつけるのは難しかったかもしれません。
③は投資の着眼点であるパニック売りないし西側諸国の過剰反応が引き起こした面があります。ETFの理論価格がほぼゼロになる事態は投資の着眼点が実現しているとも言えるわけですが、それにも関わらず追加投資できない点は歯がゆい点もありました。ただ売買が可能であっても②という想定外があったので、追加投資まではできなかったように思います。
このように考えると私のロシア株投資は想定より厳しい経済制裁が発表された段階で撤退する余地があったものの、その判断はなかなか難しかったように思います。今回ご紹介した著名投資家は以前同じような事例で教訓を学んだようですが、私はロシア株投資によって教訓を学ぶのでしょうか?
今後の注目イベントは米国での売買が再開された時にETFがいくらで取引されるかです。売買再開を楽しみに見守りたいと思います。