岸辺の日記

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「潜在的な不履行」と判定されたロシア国債

ロシアが米ドル建てロシア国債の支払いをルーブルで行ったことについて、「潜在的な不履行」と見なす判断がくだされました。

その大半が凍結されたとはいえ凍結されていない十分な外貨準備を有し、またエネルギー輸出を通じた収入を得ているロシアは、債務を果たす能力は十分にあったようです。それにも関わらずドル建てでの支払いを行わなかった理由は、外貨準備(ドル建てなので米国に預けていた分なのでしょう)が凍結されたことへの対抗措置とのことです。
支払いに使おうと思っていた外貨準備が凍結されて腹が立つ気持ちは分かります。ただ債務を履行する目的である債券市場の信用維持の観点からは、外貨準備凍結に対する怒りは我慢して支払いに応じても良いように思いましたが、メンツの問題もあってそうはいかないのでしょう。

今回「潜在的な不履行」と判定されたといっても、米ドル建てロシア国債の投資家はルーブル建ての支払いは受けているようで、手続きは複雑になっているのでしょうが、ルーブルを米ドルに換えることができれば実質的な大きな損失は発生しないことになります。批判されていないということはルーブルから米ドルへの交換レートもそれなりに合理的なのでしょう。

潜在的な不履行」から実際の不履行と見なされるには5月4日まで待つ必要があるようです。ただロシアとしてはルーブル建てで既に支払いは済ませたと位置づけているでしょうから、事態が好転するとは思えません。債務不履行の判定は関連する派生商品(デリバティブ)の取引において決定的な影響を及ぼすようで、今回の判定を受けてデリバティブ市場がどのように反応するのかも興味深いところです。

※私はロシア株ETFに投資しており、このため本記事はポジショントークの可能性があることにご留意ください

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