岸辺の日記

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基軸通貨としての米ドルの地位が低下しているらしい。数十年単位で起こるであろうドル離れ

基軸通貨としてのドルの地位が低下しているという記事を読みました。

今回のロシア政府に対する制裁を受け、米国の意に沿わない行動を取ると外貨準備が封鎖される可能性があることを知った国が、外貨準備の分散を図っているそうです。いざという時に外貨準備が資産凍結によって使えなくなっては大変ですので、こうした動きは当然だと思います。
なおロシアは外貨準備内で米ドルが占める割合を1年前の20%近くから10%まで減らしていた(その分は人民元やユーロを増やしたそうです)ことが明らかにされています。ユーロ圏の反発は想定外だったかもしれませんが、米国の反応をある程度見越し、今回の侵攻の準備を進めていたのかもしれません。

外貨準備の分散の方向性は「ドルから人民元へ」という一方から一方へという分かりやすい変化ではなく、カナダドル人民元の他、英ポンドやユーロのように複数通貨への配分が微増しているとのことでした。非西側諸国が米ドルから移行すると言っても、西側とまったく異なる理屈で動く国に外貨準備の多くを配分することには、さすがになんらかのリスクを感じているのでしょう。

基軸通貨としての米ドルの地位を長期的に懸念する意見はこれまでもありました。その変化の速度は早くて20年から50年が見込まれるのが通例で、とても時間がかかると見なされていたわけですが、今回の制裁はその速度を早めることに作用するでしょう。これは外貨準備にとどまらず、銀行間の国際ネットワークや輸出入の決済で用いる通貨(現在は基本的に米ドル建てで決済されると認識しています)についても同様で、非西側諸国による新たな枠組みの浸透やドル離れが進むのだと思います。

米ドルの売却圧力が強まることになる外貨準備の分散が始まっているとして、現在の米国は金利引き上げでドルが強い時期であり、米国にとっては良いタイミングでこうした動きが始まったと言うこともできると思います。
(先に書いたように基軸通貨の変遷は数十年単位で起こるものであり、その間にドルが弱含む時期は必ず訪れるのでしょうが…)

また資産運用という観点では、こうした変化はとても長い時間をかけて起こるため、特別な対応は必要ないと考えています。西側に属する日本国民としては現時点の基軸通貨である米ドルを中心にした資産を保有し、目に見えないくらいの速度で進むであろう基軸通貨の変化を眺めていれば良いのではと思っています。

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