岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

関係性の維持には犠牲が求められる

欧州中央銀行が域内国の債券利回りが極端に上昇した時に備えた対応策を策定しているという記事を読みました。その対応策においては各国の債券利回り(負債調達コスト)は基本的に各国で取り組むべき課題と位置づけられているものの、単一国で受け止めきれないような事態が起きた場合はユーロ全体の問題として対処することになるようです。

ユーロ加盟各国には健全な財政運営が求められており、財政運営ルールに従っている限りは債券利回りが急上昇することは考えにくいわけですが、今回のように万が一の事態に備えておくことで、ユーロに対する信認はさらに強まることになりそうです。
ユーロをめぐっては英国のEU離脱や加盟国間の方針の違い(常に何かしらの問題が起きているような印象を受けます。複数国の利害が絡むので、問題が起きないほうがおかしくて、問題が起きている現状こそが健全なのかもしれませんが…)によって、通貨に対する信認がゆらぐこともありましたが、欧州共同債のように統一性を強化するような施策によって信認が相応なレベルで維持されているように思います。

財政運営に健全さが求められることや欧州共同債のように加盟国に統一性を求めるような施策は、各国内の裁量余地を求める加盟国内では不人気なのだろうと思います。放漫財政な国にとってEUが求める健全性は内政干渉のように映るでしょうし、健全財政な国にとっては共同債という形で放漫財政の国のクレジットリスクを負担することは損になるためです。

それにも関わらずEUやユーロが維持されている背景には、欧州統合の重要性を認識した上である程度の犠牲は許容する、加盟各国の基本姿勢があるものと思われます。関係性の維持には犠牲(貢献という表現の方が適切かもしれませんね)が求められる、これはほぼ全ての分野に当てはまることだと思いました。

reedonshore.hatenablog.com