岸辺の日記

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モスクワ証券取引所が再開した後、ロシア株ETFの取引は再開されるのか?

先日ご紹介した現在世界で唯一取引可能なロシア株ETF東証上場のETFが取引停止になるそうです。公開された文書によると3月16日まで市場での取引を継続し、その後は売買自体が停止されるとのことです。そのことを伝える記事に気になる記述がありました。

 

これまでにETFの投資対象が取引されている市場で売買できなかった前例として、「アラブの春」の混乱でエジプト市場が2ヶ月近く閉鎖された例があるそうですが、その際もエジプト株ETFは取引を継続していたそうです。また別の記事になりますがギリシア危機でギリシア市場が閉鎖されていた時も、ギリシアETFは取引を継続したたとのことでした。

今回のロシア株ETFではそうした前例と異なり、証券取引所ETF運用会社は市場での売買を停止することを選択しています。

 

そこまではまあ良いのですが、記事ではロシア株ETFの場合、ETFの投資先であるモスクワ証券取引所での取引が再開されても、ETFの運用会社はロシア株を売買できないことが指摘されていました。

考えてみるとその通りで、取引所の売買が再開されてETFの理論価格が計算されるようになっても、SWIFTからの排除等によって資金を引き出すことは難しいと思われます。米国の株式市場における発行済投資口の売買は理論的に可能であるものの、ETF運用会社が投資口を現金化することは困難(おそらく不可能?)なわけです。

 

この場合、ロシア株ETFは投資口の設定解約が行われないクローズドエンド型ETF、ただし保有資金の売却が実質的に不可能なETFという極めて特殊なファンドとして取引されることになります。こうした不透明さは市場で嫌気されるはずで、資産が売却できない可能性を投資家はどれだけマイナスに評価するのか、それは理論価格と取引価格の差として現れるわけですが、とても面白い前例になるはずです。

本来であればこうした事象を傍観者として眺めていたかったのですが、幸か不幸か当事者として関わることになってしまいました。それは仕方ないことですので、今後の推移を興味深く見守っていきます。

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