岸辺の日記

日常のあれこれを記録します

ロシア関連証券の購入はロシア支援につながるのか?

米国の上院議員がロシア企業の社債購入を推奨したとされる金融機関に対し、制裁を台無しにしているとして批判したという記事を読みました。本日はロシア関連証券の売買がロシアの支援につながるのかについて考えたいと思います。

報道によると大手金融機関やヘッジファンドは割安となったロシア関連の債券を買っているそうです。私はこの購入が制裁を台無しにしているとは一概に言えないと思います。

仮に彼らが債券を購入しなかった場合、例えば債券の発行体(ロシア企業等)がこの債券を安値で買い入れることによって、債券を通じた借り入れを帳消しにすることが可能になるからです。将来100で返すと約束した債券が仮に10で売買されている場合、発行体がその債券を10で買えば将来の100の支払いを免れることにつながります。

つまりこれらの金融機関がロシア企業等の代理人として証券を買っているのでない限り、制裁を台無しにしているとは言えないわけです。

ノルウェイ公的年金の幹部が保有するロシア関連の証券を売却することについて、証券の売却はロシアの新興財閥に贈り物をすることにつながるとして否定的な考えを述べていたようですが、私も同感です(なおその後、この公的年金はロシア関連証券の売却を開始しました…)。

また英国の石油会社BPが、同社が保有するロシアの石油会社ロスネフチの株式を売却する際、買い手が見つからないためロスネフチに買い取りを依頼する可能性があるとした記事を読みましたが、高値での買い取りを事前に約束していない限り、それはロスネフチを利するだけのように思います。

ただし上記は既に発行された証券に限定した話です。ロシア政府やロシア企業が資金調達のために新規発行した証券を購入したり、新規発行を支援することは、たしかにロシア支援につながります。

また既発証券の売買によってロシア関連証券に価格が付くことで、ロシア側に資金調達のための証券発行を促す面も、(間接的ではあるものの)ありえるとは思います。

ただ金融機関にロシア関連の資金調達に協力しないよう規制することで、この問題は解決できます。金融機関は既に当局の監督下にありますから、証券発行業務に対する規制を通じてロシア側の資金調達を規制した方が、流通市場を規制するよりもはるかに効果的であるように思います。

 

なお先ほど「これらの金融機関がロシア企業等の代理人として証券を買っているのでない限り」と書きましたが、ロシア企業の代理人として購入しているわけではないことを証明することは難しいのかもしれません。

日本では反社会的勢力が金融機関に口座を作ることは禁止されていますが、ロシア企業等を対象にした同様の規制を、今すぐ金融機関に課すことは難しいと思われ、この上院議員はこのことを心配している可能性はあります。

ここ数日記事にしているように私はロシア株ETFに投資しており、それゆえ偏った見方をしている可能性は自覚しています。皆様がこの件についてどうお考えになるか、コメント欄等を通じてご意見いただけると嬉しいです。

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